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【2016年ドラフト】巨人の戦力を徹底分析してみた!

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わたしのドラフトに対する考え方は、あくまでも『戦力補強の場である』ということです。

良い選手を獲得するためにガチャを引くような考えでは、長期的に強いチームは決して作ることが出来ません。

場当たり的な補強ではなく、チームのウィークポイントを埋めることの出来る選手を確実に補強していくことが何よりも大切と考えます。

例えば、横浜の2009年ドラフト1位は筒香嘉智でした。今や球界を代表するスラッガーとなりましたが、わたしは当時の横浜のドラフトは最悪だと思いました。

なぜなら、2008・2009年と横浜は最下位に沈んでいます。原因は明らかに投手不足です。とにかく即戦力投手が1枚でも2枚でも多く欲しいところなのに、悠長に高卒野手を1位指名するドラフトを見て、このチームにはビジョンが無いと嘆いたものでした。(地元のスター候補という心情は分かるが、戦力補強になっていないことは評価できない)

案の定、2010・2011年と連続最下位に沈み、とうとう球団は身売りされます。明らかに2009年のドラフトが機能していない証明です。

結果的にDeNAベイスターズとなってからは、GMに高田繁を招き、ドラフト戦略を一新させ、とうとうCSに進出するチーム力を蓄えるに至りました。

筒香は、CS進出の原動力になったことは間違いないのですが、これは結果論に過ぎません。ドラフトを宝くじのような運否天賦に任せた戦力補強の場にしてはいけません。

とはいえ、投手はいくらいても困るポジションではないので、投手のスター指名はアリだと考えています。近年、ドラフトで競合する選手のほとんどが投手なのは、いくらいても困らないからだと思います。

つまり巨人で言えば、長野の1位指名はよく分かりませんでしたが、菅野の1位指名は投手だからOKと言った感じです。

という観点で、今年の巨人のドラフトと戦力分析を行いたいと思います!

ドラフト指名前の戦力分布

ポジションや年齢別に、選手層を一覧にしてみます。

可視化することで、チームの補強ポイントが見えてきます。

※年齢は全て2017年4月〜2018年3月に誕生日を迎えた前提で計算しています。いわゆる『○○歳の年』で言うところの年齢で計算しています。

投手

赤字は先発投手で、赤太字は計算出来る先発ローテ投手
青字はリリーフ投手で、青太字は計算出来るリリーフ投手

・投手全体

〜25歳 :9
26〜30歳:9
31〜35歳:6
36歳〜 :1

・右投手

〜25歳 :4(與那原、平良、桜井、宮國)
26〜30歳:7(長谷川、菅野田原高木澤村マイコラス、小山)
31〜35歳:4(江柄子、西村大竹マシソン※残留濃厚だが去就未定)
36歳〜 :0

・左投手

〜25歳 :5(巽、田口、今村、中川、戸根)
26〜30歳:2(公文、乾)
31〜35歳:2(山口内海)
36歳〜 :1(杉内)

野手

赤字は1軍レベルの野手で、赤太字はレギュラー格の野手

・野手全体

〜25歳 :7
26〜30歳:11
31〜35歳:7
36歳〜 :6

・捕手

〜25歳 :1(宇佐美)
26〜30歳:4(河野、鬼屋敷、松崎、小林)
31〜35歳:0
36歳〜 :2(實松、相川)

・内野手全体

〜25歳 :5(岡本、和田、辻、山本吉川)
26〜30歳:3(藤村、中井、坂本)
31〜35歳:3(クルーズ片岡、寺内)
36歳〜 :3(脇谷、村田阿部)


・外野手全体

〜25歳 :1(重信)
26〜30歳:4(橋本、大田、立岡、北)
31〜35歳:4(堂上、長野亀井、松本)
36歳〜 :1(ギャレット※去就未定)

・右打者

〜25歳 :4(岡本、和田、山本吉川)
26〜30歳:6(鬼屋敷、松崎、大田、小林、中井、坂本)
31〜35歳:4(長野、寺内、クルーズ片岡)
36歳〜 :3(實松、村田、相川)

・左打者

〜25歳 :4(辻、宇佐美、重信、吉川)
26〜30歳:5(河野、橋本立岡、藤村、北)
31〜35歳:3(堂上、松本、亀井)
36歳〜 :3(脇谷、ギャレット阿部)

現有戦力における補強ポイント

投手

右・左投手とも、年齢層のバランスは良いですが、先発投手の絶対数と、信頼出来るリリーフ投手が足りません。

先発投手は、菅野・マイコラス・田口は十分計算出来ますが、ベテランの大竹・内海に頼らざるを得ない状況が辛いです。

この5名に次ぐ選手が、高木以外に見当たらない点が台所事情の苦しさが伺い知れます。

平良・桜井に期待を寄せつつも、即戦力の先発投手の補強が急務です。計算出来るローテ投手が、あと3枚は欲しいところで、最低でももう2枚は必要でしょう。

中継ぎ投手は、計算できる澤村・マシソン・田原に次ぐ投手が、山口・西村・宮國・戸根といった面々で、いささか心許ありません。

山口と西村は長年の酷使がたたって、かつてのキレが無い状況で、宮國は伸び悩み、戸根は2年目のジンクスにぶち当たりました。

特に左の中継ぎ投手は、衰えが隠せない山口が最も信頼出来る選手と考えると、中川と公文の台頭に期待しつつも、是が非でも補強したいポイントです。

・投手補強まとめ

先発投手2〜3人
左のリリーフ投手1人
計算出来る中継ぎ投手はいくらでも

野手

31歳以上の野手が13名と、世代交代の遅れが気になります。

特に外野手の高齢化が著しく、最も若い外野手が重信24歳で、次いで橋本と大田の27歳という状況です。

若手外野手の補強は必要ですが、今年やらねばならないことではなく、2〜3年以内の若手外野手の選手層を厚くしていけばOKです。

しかし、根本的に外野手のレギュラー格の選手が長野と、去就が未定なギャレットしかいません。橋本、大田、立岡には期待しながらも裏切られるシーズンだったので、即戦力外野手の補強は急務と言えましょう。

内野は、一塁・阿部、二塁・クルーズと片岡、三塁・村田、遊撃・坂本と計算出来る選手が揃っています。

とはいえ、坂本以外は30代のベテラン選手です。特に阿部はフルシーズン活躍出来るか読めない部分もあります。村田は一塁守備も出来るため、三塁か一塁で打力の高い控え選手が1人いると手厚くなると言えましょう。

現有戦力では、一塁は岡本と中井、二塁は山本と辻、三塁は岡本と和田と、後継となり得る若手選手も控えています。

内野の選手層は比較的厚いと言えるので、最悪内野手の補強は後回しでも問題ないと考えます。

捕手は小林に目処が立っている上、20代の捕手も充実しているので全く問題ありません。

・野手補強まとめ

即戦力外野手1〜2名(ギャレット次第)
若手外野手(2〜3年以内に充実させる)
一塁か三塁を守れる打力の高い選手

2016年ドラフトで巨人が獲得した選手

ということで、ドラフトで獲得した選手をこれらの補強ポイントと照らし合わせてみます。

1位、吉川尚輝(23歳、内野手、右投左打)

中京学院大から指名された、ショートまたはセカンドを守ることが出来る選手です。

菊池涼介(広島)の後輩にあたり、菊池も大学時代から超一級の守備力を持っていたように、吉川も守備力が非常に高く評価されています。

巨人は、センターラインの守備力を非常に重視した戦力構成をしているので、チームの方針にはピッタリ合う選手です。

しかし内野手、特にセカンドとショートは人材が豊富であるため、ドラフト1位での獲得は非常に疑問です。

2巡目以降には確実に残っていない逸材であることは間違いないですが、広島が外れ1位に指名した加藤拓也を狙った方が良かったのではないかと思います。

2位、畠世周(23歳、投手、右投右打)

近畿大から指名された、186cmの大型右腕です。

補強ポイントにピッタリ合う、先発型の投手です。

ですが、4年生のときは怪我の影響で、公式戦にあまり登板していません。

どれほど影響があるか心配ではありますが、思い切ってドラフト2位で指名した心意気を買いつつ、先発ローテ入りを期待したいです。

3位、谷岡竜平(22歳、投手、右投右打)

東芝から指名された、180cmの右腕投手です。

畠と同じく、先発型の投手で、補強ポイントにピッタリです。

特に故障歴もなく、社会人2年目の20歳シーズンから東芝のエース投手を務めています。

高木勇人もドラフト3位指名だったように、巨人の中位指名の投手はよく活躍する印象があるので、こちらも先発ローテ入りを期待しています。

なお竜平は「たっぺい」と読むそうです。

4位、池田駿(25歳、投手、左投左打)

ヤマハから指名された、174cmでスリークォーターで投げる左腕投手です。

ヤマハではリリーフ投手を務めており、まさに巨人の最も補強したいポイントに合っている選手です。

左打者には外に逃げるスライダーを武器に、右打者には外に沈むチェンジアップが決め球になるので、ワンポイントではなく1イニング任せられるリリーフエースになることを期待したいです。

5位、高田萌生(19歳、投手、右投右打)

創志学園から指名された、高卒右腕です。

松坂大輔に憧れ、夏の甲子園で152キロの球を投げ込んだ素材型です。

6位、大江竜聖(19歳、投手、左投左打)

二松学舎大付高から指名された、172cmの左腕投手です。

しっかり育てていくところからです。

7位、リャオ・レンレイ(25歳、投手、右投右打)

国籍は台湾ながら、岡山共生高卒業後、メジャーリーグのピッツバーグ・パイレーツの下部組織に所属していたこともある、超隠し玉選手です。

身長201cm、体重125kgの巨体を生かして、リリーフ投手として育成していくことでしょう。

現状は、ノーコンで球の勢いもそれほど無いので、即戦力にはなりにくいように思えます。

2mの身長は、それ自体が武器となり得るので、球威とコントロールを磨いて化けてもらいたいところです。


・今年のドラフトは40点!

補強ポイントに合致した選手は畠・谷岡・池田・リャオの4名です。

田中正義と佐々木千隼を、競合覚悟で果敢に指名した姿勢は素晴らしいです。

外れ外れ1位とはいえ、貴重なドラフト1位を層の厚い二遊間の選手獲得に使った点は、やはり解せません。

吉川は巨人のチーム方針に合った好選手であることに全く疑いはありません。個人的にも二遊間で守備力高い選手は、とても好きなので、普通にファンになると思います。入団するからには大いに期待しますが、戦力補強の観点で言うと評価出来ません。

不足している外野手の指名もありませんでした。若手外野手としては、西武が4位で指名した鈴木将平が非常に高評価だったので、3巡目までに指名しておくことも可能だったと言えましょう。4巡目以降で指名する予定だったのかもしれませんが。

とはいえ、今年は外野手に好素材が少ない印象であるのに対して、FA市場は人材豊富です。そちらでの補強をメインに考えている可能性が高いです。

よって、今年のドラフトは40点と言ったところでしょうか。

ドラフト指名後の戦力分布

緑字はドラフトで獲得した選手

投手

・投手全体

〜25歳 :15
26〜30歳:9
31〜35歳:6
36歳〜 :1

・右投手

〜25歳 :8(高田、與那原、平良、谷岡、桜井、宮國リャオ)
26〜30歳:7(長谷川、菅野田原高木澤村マイコラス、小山)
31〜35歳:4(江柄子、西村大竹マシソン)
36歳〜 :0

・左投手

〜25歳 :7(大江、巽、田口、今村、中川、戸根池田)
26〜30歳:2(公文、乾)
31〜35歳:2(山口内海)
36歳〜 :1(杉内)

野手

・野手全体

〜25歳 :8
26〜30歳:11
31〜35歳:7
36歳〜 :6

・捕手

〜25歳 :1(宇佐美)
26〜30歳:4(河野、鬼屋敷、松崎、小林)
31〜35歳:0
36歳〜 :2(實松、相川)

・内野手全体

〜25歳 :5(岡本、和田、辻、山本吉川大吉川尚)
26〜30歳:3(藤村、中井、坂本)
31〜35歳:3(クルーズ片岡、寺内)
36歳〜 :3(脇谷、村田阿部)

・外野手全体

〜25歳 :1(重信)
26〜30歳:4(橋本、大田、立岡、北)
31〜35歳:4(堂上、長野亀井、松本)
36歳〜 :1(ギャレット)

・右打者

〜25歳 :4(岡本、和田、山本吉川大)
26〜30歳:6(鬼屋敷、松崎、大田、小林、中井、坂本)
31〜35歳:4(長野、寺内、クルーズ片岡)
36歳〜 :3(實松、村田、相川)

・左打者

〜25歳 :5(辻、宇佐美、重信、吉川大吉川尚)
26〜30歳:5(河野、橋本立岡、藤村、北)
31〜35歳:3(堂上、松本、亀井)
36歳〜 :3(脇谷、ギャレット阿部)

ドラフト後の補強ポイント

投手

先発投手があと1〜2枚欲しいところです。

FA市場では、岸孝之(西武)、山口俊(DeNA)が宣言するとの噂もあります。

この2名は巨人というイメージが全くありませんが、獲得に動きそうな感じもします…。

あとは、外国人枠も空いているので、マイコラスに次ぐ計算出来る外国人投手の獲得にも動きたいところです。

左のリリーフとして、池田駿を獲得したものの、万全を期すなら森福允彦(ソフトバンク)の獲得にも動きたいところです。

岸や山口よりも、森福獲得の可能性のほうが高いように思えます。

野手

外野手が不足していますが、今年のFA市場は外野手が豊富です。

糸井、陽岱鋼、大島、平田、聖澤あたりがFA宣言の可能性が高く、巨人はこれらの選手獲得に間違いなく動くと思われます。

本人が来たいかどうかは別にして、守備力の高い糸井・大島・聖澤あたりは是非とも獲得したい選手ではあります。

若手外野手の補強は、来年以降に着実に行って欲しいなと思います。

まとめ

即戦力として獲得した選手が計算通り活躍しないことや、将来が期待された選手も芽が出ないまま引退することだって珍しくありません。

元々運の要素の強いドラフトをうまく活用して、戦力補強していくためには長期的な視野でバランス良く好選手を獲得していくことが大事だと思います。

どれだけ吉川尚輝が凄い選手だったとしても、クルーズや片岡が健在なら吉川の出番は確実に減ります。貴重なドラフト1位が試合に出ないということは、戦力補強になっていないことを意味します。

もちろん、将来的に坂本と鉄壁の二遊間を築いてくれると思うと、非常に楽しみです。吉川尚輝のことを調べれば調べるほど、ワクワクする気持ちは抑えられません。吉川尚輝のような選手は2〜3年後の巨人にとっては、ドンピシャの補強ポイントになるかもしれませんし、2〜3年後に吉川尚輝クラスの選手が現れるとは限りません。

日本プロ野球は、1リーグ6球団で上位3チームがCSに進出出来る以上は、捨てるシーズンを作ってはならないと思います。

メジャーリーグでは、戦力を整えるため数シーズンに渡ってリーグ戦を捨てる”再建期”という概念がありますが、1リーグ15球団のうち上位5チームがプレーオフに進出出来るわけで、日本とは事情が違います。

だからこそ、2017年シーズンの優勝を狙うためにはチームのウィークポイントを埋める即戦力補強が何よりも重要です。

即戦力の観点で獲得した、畠・谷岡・池田の3名には特に注目して行きたいと思います。

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