自転車通勤をしたり、輪行などしながら遠出して観光したり、ちょっとスーパーやコンビニまで買い物に行ったりと、日常の足としてロードバイクを活用している人も多いかと思います。
かく言うわたしもその一人でして、競技イベントに出場することはほとんどなく、ビンディングシューズを履く機会が少ないです。
普段はほとんどスニーカーやスリッポンシューズなど、ノーマルなシューズでロードバイクに乗って外出することが多いです。
ビンディングペダルを付けたままでも、十分漕ぐことは出来るのですが、やはりノーマルペダルの方が漕ぎやすいです。
自転車購入時についてきた、ごくごく普通のノーマルペダルを取り付けて活用していたのですが、そろそろ良いペダルにグレードアップしたいと思いました。
色々調べているうちに、『三ヶ島(MKS)』製のペダルが良いな!ということで、「MKS(三ヶ島)のBM-7」を購入しました。
三ヶ島(MKS)とは?
1943年、第二次大戦の真っ只中に創業された三ヶ島製作所が展開するブランド名です。
「ミカシマ」や「MKS」と呼ぶそうです。
三ヶ島製作所は戦後、自転車用ペダルの生産を開始して、現在までほぼ自転車用ペダル一本で事業を継続しています。
なぜペダルだけで事業継続できたのか?
その理由の一つは、競輪です。
競輪は公営ギャンブルという特性上、高い公平性と安全性が担保されなくてはなりません。
A選手の使っているパーツの方が、B選手の使っているパーツより性能が高い。というようなことがあってはならないのです。
そのため、「NJS基準」と呼ばれる、高い基準をクリアした認定パーツのみ、競技で使用できます。
三ヶ島製作所のペダルは、このNJS基準をクリアした唯一の認定ペダルなのです。
ペダル本体の精度だけでなく、品質にバラつきがないこと、そして丈夫であること、多くの需要があるため低価格で提供できること。
競輪の認定メーカーとなることで、我々一般消費者にも多くの恩恵がもたらされています。
三ヶ島製作所のこだわりは、日本国内生産であること
自転車のペダルのような金属製品は、熱を加えて溶かした金属を鋳型に注ぎ込んで形成する製造方法が一般的です。
しかし、三ヶ島(MKS)のペダルは、常温で金型を用いて加工する「冷間鍛造」という技術が用いられています。
「冷間鍛造」のメリットは、熱を加えて加工するよりも高い精度で製造出来ることですが、常温で金属を加工するためには大きなパワーが必要となるため、加工には高度な技術力も要求されます。
三ヶ島製作所では、1949年から自転車ペダルの製造を開始しており、今日までに培われた高い技術力によって「冷間鍛造」を可能としているのです。
ゆえに、一般的なペダルとは段違いの精度を生み出しています。
百聞は一見にしかず。
まずは、わたしが購入したペダルをご覧ください。
アルミパーツの輝きは美しいですが、パッと見はただのノーマルペダルに見えます。
これを、自転車に取り付けます。
そして、ペダルの指を弾いて、クルクルっと回してみると、、、
この回転数です!
今まで付けていたノーマルペダルは1回転もしませんでした。
ペダルってこんなに綺麗に回るのか!と衝撃を受けました。
「冷間鍛造」によって作られたペダル軸とボールベアリングの高精度さが、一目で伝わります。
実走してみた感想など
問題は、これだけのペダルの回りの良さが、実走にどのように影響するかです。
低速で巡航する、ハイケイデンスで回す、スプリント(もどき)して高負荷をかける、など様々な乗り方をしたフィーリングの差をまとめます。
低速で巡航
時速20〜25キロくらいで、ケイデンスは60〜70くらい、心拍数は120前後を記録する程度の負荷、
わたしにとって一番ラクに漕げるスピードで走ってみました。
結論から言うと、低速巡航において驚異的な性能を発揮してくれます。
GARMINで取得した走行データで、初期ノーマルペダルでの巡航速度と三ヶ島ペダルでの巡航速度を比較してみると、三ヶ島ペダル装着時の方が時速1〜2キロほど速かったです。
三ヶ島ペダルは、ほとんど抵抗なくクルクル回せるのに対し、初期ノーマルペダルは速度維持のためのペダリングに負荷がかかるためか、知らず知らずのうちにスピードが落ちていたんだと思います。
少ない力でペダリングするような巡航時ほど、回転性能の高い三ヶ島ペダルの優位性が発揮されると思います。
ハイケイデンスで回してみる
当然、三ヶ島ペダルの回転性能の良さの影響でクルクル回しやすいのですが、いかんせんノーマルペダルゆえケイデンスが80〜90あたりを越えてくると、靴とペダルが一体化していないため回しにくく感じます。
というより踏み外しそうで怖いです笑
もちろん、競輪選手のようにトゥークリップなどで固定して走れば違うのでしょうが、普段の走行ではトゥークリップで固定するメリットがあまりないです。
トゥークリップを使用する人にとっては、ハイケイデンス走行時に三ヶ島ペダルの恩恵を強く受けることが出来るでしょう。
高負荷をかけてスプリントする
正直、あまり違いを感じませんでした。
ペダルの回転抵抗の大きさよりも、クランクを回す抵抗(≒出力ワット数)の方が大きくなるため、根本的な自分の脚力の問題に依存してくると思います。
もちろんペダルの回転抵抗が少ない方が、当然プラスの要素となります。
しかし、三ヶ島ペダルにしたことで、最高速度が何キロも上がりました!ということには、なりにくいのかなと思いました。
普段使いとしてノーマルペダルを使用した人には最高の逸品
恐らくノーマルペダルを使用する方のほとんどは、高出力でペダルを踏み続けて汗だくになって乗る、というよりはいかに楽に乗るか、ということに重きを置いているのではないあと思います。
ロードバイクの基本的な性能を存分に発揮して、より少ない力で、より速く、より遠くへ行くためには、三ヶ島ペダルが最適だと言えましょう。
何より、三ヶ島ペダルはエントリーグレードのものでも十分な性能があり、安価で購入することが出来ます。
ちょっとしたカスタムで、驚くほど巡航がしやすくなるので、個人的には非常にコスパの良い投資だと感じました。
わたしが購入した三ヶ島ペダルは、「BM-7」といういわゆるノーマルペダルらしい見た目のものです。
他にも、よりスポーティな「シルバン ストリーム [SYLVAN STREAM]」。
滑り止めが散りばめられ、踏み面が広い「ラムダ [LAMBDA]」
折りたたみ自転車に最適な、ペダルを折りたためる「エフディーセブン [FD-7]」
LOOKのKEOと互換性のあるビンディングペダルの「ユーエスエル [US-L]」など、ラインナップは豊富です。
もし、最初からついていたノーマルペダルのままの方がいましたら、三ヶ島ペダルを検討してみてはいかがでしょうか?
・こんな記事も書いています。