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【ライブレポ】X JAPAN ワールドツアー2017〜奇跡の夜〜6DAYS@7/14横アリ

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一言で表現するなら、YOSHIKIとは「決して妥協しない男」だ。

英語の発音一つをとっても、徹底的にこだわり抜いたためにアルバム発売が何年も遅れた。
ボーカル撮りが難航しすぎるあまり、ToshIがおかしくなってしまった原因の一つになっていたかもしれない。
ライブ前のリハーサルも徹底的に行うあまり、開演が遅れることは日常茶飯事だ。

YOSHIKI/佳樹』という本で読んだエピソードを一つ紹介したい。

X JAPANは北陸でライブした時の話だ。
YOSHIKIはライブ中の自身のパフォーマンスに納得がいかず、どうしても練習して修正したかった。
しかしライブ会場付近では、ドラムを叩ける設備もないし、何より自前のドラムで練習しなければ意味がなかった。
そこで、ライブ終了直後にタクシーを拾って、運転手に東京へ向かうように告げた。
自宅の演奏室で、ドラムの練習をするためにだ。
十万円近い金額をかけて、自宅に着いた際はすでに翌日の早朝だった。
そこからYOSHIKIは気絶するまでドラムの練習をしていたそうだ。
…翌日にも北陸でライブがあるにもかかわらず。


X JAPANが世界的に有名なバンドになった理由はYOSHIKIが天才だったからではない。
決して妥協を許さず、楽曲とライブパフォーマンスのクオリティを徹底的に追求した不断の努力の賜物に他ならない。

尋常ではない拘りの代償に、YOSHIKIの身体はボロボロに擦り切れていた。
何度もメスを入れている身体に、ダメ押しかのように2017年5月に頚椎の手術を行った。

満足に身体を動かせない状況にも関わらず、6月20日に都内で会見を開き、7月のワールドツアー2017〜奇跡の夜〜6DAYSを予定どおり開催することを発表した。
さすがにドラムを叩くような通常の公演ではなく、ピアノやストリングスを活用したアコースティック形式にするとのことだった。

とはいえ、YOSHIKIの首の状態は、ドラムを叩く叩かない以前に、1人の人間として生活が成り立つか成り立たないレベルの分水嶺に立つほどの重傷なのだ。

日常生活に支障が出るほどの状態で、決して妥協を許さないYOSHIKIが、手術からたった2ヶ月でアコースティックアレンジも手がけて、自身もピアノを演奏できる状態に仕上げる。
そんなことが現実的に可能なのだろうか?
YOSHIKIは再起不能なダメージを受けてしまわないのだろうか?

ただただ、心配ばかりが募っていた。

と同時に、YOSHIKIだからこそ、やり遂げてくれるのではないか。
YOSHIKIは、いつだって不可能を可能にしてきたではないか。
と、わたしは高まる期待を抑えずにはいられなかった。

刹那的な衝動こそがX JAPANの魅力

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「アコースティックだからといって、生ぬるい音楽をやるつもりはない。激しく行く。」
YOSHIKIは高らかに宣言した通り、YOSHIKIのピアノはダイナミックだった。
2ヶ月前に遺書を書かされるほどの重大な手術を受けた人とは思えないパフォーマンスだった。

さらに、『Silent Jealousy』のアコースティックアレンジバージョンという、極めて貴重だと思われる楽曲も披露。
個人的に最も好きな曲である『ART OF LIFE』もストリングスを混じえた壮大なアレンジが加えられていた。

ストリングスの譜面もYOSHIKIが書いたのだろうか。
ギターアレンジもYOSHIKIがコード譜に起こしているのだろうか。
少なくとも、最終チェックはYOSHIKIがしているはずだ。

ただでさえ多忙な中で、一体どのようにして時間を捻出していたのだろうか。
この『奇跡の夜』に懸けるYOSHIKIのただならぬ思いが伝わってくる。

ToshIは「あと3日あるけど、今日が最終日だと思って全力を出し尽くす!」と言っていた。
その刹那的な生き方こそが、Xの真骨頂だった。

時折、声がかすれる場面も目立ったToshIの歌声からも、まるでYOSHIKIのような妥協を許さない姿勢を強く感じた。

そして、ライブの終盤。
YOSHIKIが左手で痛む首元を抑えながら、会場に向かって『We Are!』の絶叫を連発していた時に、わたしは感動のピークに達した。
それまでのMCでは、歓声にかき消されてしまうほど、可細い声で話をしていたのに、かつてのライブ映像や音源と変わらぬ絶叫ぶりを発揮していたからだ。

平気なわけがない。
恐らく6日間全てのライブで、この人は絶叫するに違いない。
平気なわけがないのだ。

と同時に、やはりX JAPANはこうでなくちゃ!と興奮もピークに達したことも、また事実。

妥協を許さず、死をも恐れない刹那的な衝動こそが、わたしがX JAPANを好きである理由なんだと改めて確信した。

それでも、YOSHIKIにとってはアコースティックは妥協だったのか

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ライブ中にYOSHIKIは「ドラマーがドラムを叩けないのに、コンサートをやっていいのかと…」と声を震わせながら話す場面があった。
やはり、悔しいのだろう。

決して妥協を許さないYOSHIKIなら、ドラマーを叩かずにコンサートを開催すること自体が妥協だと考えても不思議ではない。

ならば、YOSHIKIの次なる目標はドラマーとして完全復活することだろう。

そもそも手術前のように、再びドラムを叩くことが出来るかどうかさえ不透明な状況だ。
しかし、YOSHIKIは「『奇跡の夜』をやることで、次に進むための生きる力にしたい」とも語っていた。

医者からは不可能だと言われているかもしれない。
それでも、不可能を可能にしてきたのは他ならぬYOSHIKI自身なのだ。

「『X』とは、無限の可能性を意味する文字だ」と、ライブ中に何度も言っていた。
つまり、X JAPANというバンドそのものが、無限の可能性を持っているともいえよう。

『WE ARE X』内では、YOSHIKIの体調についてToshIとPATAが語るシーンがった。

ToshIは「友達としては心配している。X JAPANのメンバーとしては全く心配していない。」と言えば、
PATAは「心配していない。あいつはそんなやわじゃない。」と断言。

わたしも1人のファンとしてYOSHIKIこと林佳樹の体調が心配だ。
だが、"X JAPANのYOSHIKI"に対して体調の心配をすることは失礼ではないかと思う。

もっとやれ!だなんて、さすがに言えないが、
完全復活したYOSHIKIが再びドラムを叩く姿を、とことん待ち望んでいこうと思う。
それが、「決して妥協しない男」YOSHIKIへの最高のリスペクトだからだ。

X JAPAN ワールドツアー2017〜奇跡の夜〜6DAYS@7/14横アリ セットリスト

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1、Forever Love
2、Tears
3、Kiss the sky
4、HEATHソロ
5、PATAソロ
6、DRAIN
7、SUGIZOソロ
8、Silent Jealousy
9、YOSHIKIピアノソロ(白鳥の湖)
10、Miracle
11、La Venus
12、Hero
13、Without You
14、紅
15、ART OF LIFE

アンコール1
16、Rose of Pain
17、WEEK END

アンコール2
18、WORLD ANTHEM
19、I.V.
20、UNFINISHED
21、Longing ~跡切れたmelody~
22、ENDLESS RAIN