※選手の脚質・役割、実績、レビューを記載しています。
クリス・フルーム(チームスカイ)のアシストは嫌だ!と移籍したBMCレーシングで、非常に調子の良い走りを見せています。
ただし、本人も認めるように調子のムラが激しいです。
ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ)とのダブルエースで挑むのか、強さを見せつけポート単独エースで行くのか、チーム内外の争いが見どころとなりそうです。
※ブエルタ・ア・エスパーニャ2016の出場選手情報については
ブエルタ・ア・エスパーニャ2016 出場選手一覧&チームレビュー
をご覧ください。
(2016.7.6更新)
- 91、リッチー・ポート
- 92、ブレント・ブックウォルター
- 93、マルクス・ブルクハート
- 94、ダミアーノ・カルーゾ
- 95、ローハン・デニス
- 96、アマエル・モワナール
- 97、ミヒャエル・シェアー
- 98、フレフ・ファンアフェルマート
- 99、ティージェイ・ヴァンガーデレン
- 2011年総合優勝時のメンバーを多く揃え、ガチで総合を狙いに行く構成
91、リッチー・ポート
Porte claims Tour Down Under Willunga Hill hatrick | Cyclingnews
国籍:オーストラリア
年齢:31歳
脚質:オールラウンダー
独走力 ★★★☆☆
TT力 ★★★★☆
登坂力 ★★★★★
スプリント ★★☆☆☆
わたしのイチオシ選手の一人です!
ファンタスティック4(クリス・フルーム、アルベルト・コンタドール、ナイロ・キンタナ、ファビオ・アル)に並びうるポテンシャルを持ったエースライダーです。
近年のツールでは、クリス・フルーム(チームスカイ)の頼れる相棒として、献身的にアシスト。山岳でのアシスト力は他のチームのエースさえも寄せ付けない強さでした。
ということもあって、いよいよ自身をエース待遇で起用してくれるチームへと移籍を果たします。
ツール前哨戦である『クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ』プロローグとなった、山岳TTでフルームを上回るタイムを叩き出します。
総合3位で迎えた最終ステージでは、最後の局面でほんのわずかな隙をつかれ、総合4位に転落してしまうミスを犯しました。
ですが、全体的に仕上がりは万全と思える状態です。
あとは3週間という長丁場で、集中力を切らすことなく走ることが出来れば、表彰台は堅いと言えましょう。
実力は申し分なしで、精神力だけが問題です。
92、ブレント・ブックウォルター
Canadian Cyclist - Photo Galleries
国籍:アメリカ
年齢:32歳
脚質:TTスペシャリスト、ルーラー
独走力 ★★★★☆
TT力 ★★★★☆
登坂力 ★★☆☆☆
スプリント ★★☆☆☆
2011年ツールでは、カデル・エヴァンス(オーストラリア、当時BMCレーシング)の総合優勝に多大なる貢献をした一人です。
平地での独走力に定評がありますが、登りもこなせるため、グランツールのアシストとして最適です。
集団の先頭でガンガンに牽きまくるブックウォルターの姿が度々目撃されることになるでしょう。
93、マルクス・ブルクハート
CyclingQuotes.com Burghardt swept up 500m from the line in Qatar
国籍:ドイツ
年齢:32歳
脚質:クラシックスペシャリスト
独走力 ★★★★☆
TT力 ★★★☆☆
登坂力 ★★☆☆☆
スプリント ★★☆☆☆
こちらも2011年のカデル・エヴァンスのツール制覇を支えた有能アシスト陣の一人です。
2007年『ヘント・ウェヴェルヘム』優勝、2008年ツール第18ステージ優勝がキャリアでの大きな勝利です。
グランツールは9大会連続完走していましたが、昨年のブエルタ第2ステージでの落車の影響で途中リタイヤしています。
ブックウォルター、ローハン・デニスともに、平地での先頭固定走行の場面は幾度も見られることと思います。
頼れるアシストが、ポートとヴァンガーデレンを支えます。
94、ダミアーノ・カルーゾ
CyclingQuotes.com Lodewyck signs as sports director with BMC Development Team
国籍:イタリア
年齢:28歳
脚質:クライマー
独走力 ★★☆☆☆
TT力 ★☆☆☆☆
登坂力 ★★★★☆
スプリント ★☆☆☆☆
元ヴィンチェンツォ・ニバリの相方で、現在はヴァンガーデレンの山岳アシストとして活躍中のカルーゾです。
キャリアでの大きな勝利はありませんが、2014年ブエルタ総合9位、2015年『ジロ・デ・イタリア』総合8位と、山岳多めのコースで安定した成績を残しています。
今回のツールもジロやブエルタ寄りの山岳多めのコースになっているため、カルーゾの活躍の場はたくさんあることでしょう。
ポートとヴァンガーデレンのために、山で牽きまくれ!
95、ローハン・デニス
http://www.uci.ch/track/news/article/uci-hour-record-live-coverage-rohan-dennis-attempt/
国籍:オーストラリア
年齢:26歳
脚質:TTスペシャリスト
独走力 ★★★★☆
TT力 ★★★★★
登坂力 ★★☆☆☆
スプリント ★★☆☆☆
昨年のツール第1ステージの個人TTで、ステージ優勝を飾り、マイヨ・ジョーヌを獲得しました。
また2015年2月には当時のアワーレコード52.491kmを樹立した、TTスペシャリストでもあります。
今大会はチームTTがなく、2つある個人TTのうち1つは山岳TTで、もうひとつは割とアップダウンのあるコースとなっています。
当然、デニスは個人TTでの勝利を狙ってくると思います。ですが、それ以外での平地での牽引力が期待がチームにとって欠かせない力になると思います。
96、アマエル・モワナール
Video: Moinard revels in domestique role at BMC | Cyclingnews
国籍:フランス
年齢:34歳
脚質:クライマー
独走力 ★★★☆☆
TT力 ★☆☆☆☆
登坂力 ★★★★☆
スプリント ★☆☆☆☆
何でも屋のアシストです。Wikipediaには、英語で『Domestique』、フランス語で『équipier』という役割だと書いてありました。
直訳すれば「しもべ」という意味ですが、「A domestique is a road bicycle racer who works for the benefit of his team and leader.」と書いてあり、意訳すると特に献身的なアシストをする選手のことを指すようです。例としてランス・アームストロングを支えるジョージ・ヒンカピーがあげられていました。
脚質はクライマーですが、恐らく平地でもガンガンに牽かされるし、ボトル運びも喜んでやることでしょう。
サイクルロードレースにおいて、こういう選手の存在は欠かせません。
2011年のカデル・エヴァンスを支えた一員であり、ツールでの総合成績はすべて二桁台の順位であることから、山岳でも限界までエースに付き添っているものと思われます。
今大会でも、多くの山岳ステージで、限界までポートとヴァンガーデレンに付き添う二人の精神的支柱としての活躍が期待されます。
97、ミヒャエル・シェアー
Michael Schär | Cyclist, Bicycle helmet, Bicycle
国籍:スイス
年齢:29歳
脚質:オールラウンダー
独走力 ★★☆☆☆
TT力 ★★★☆☆
登坂力 ★★★☆☆
スプリント ★★☆☆☆
2014年『ツアー・オブ・ユタ(UCIカテゴリ2.1)』第2ステージで独走勝利をおさめています。
コースプロフィールを見る限り、3000m級のとてつもない山を越えて、アップダウンの激しい丘陵地帯を駆けるコースのようです。
登坂力とタフな独走力が要求される難コースで、後続に2秒差をつけてゴールしているので、力のあるライダーと思われます。
この人も、2011年のカデル・エヴァンスをアシストした一人で、山岳アシストの任を担ったと思われます。
カルーゾ、モワナールと共に、山で勝負を仕掛けられるだけの人材を揃えて来ました!
98、フレフ・ファンアフェルマート
Greg Van Avermaet: I'm a clean rider | Cycling Weekly
国籍:ベルギー
年齢:31歳
脚質:クラシックスペシャリスト
独走力 ★★★☆☆
TT力 ★★☆☆☆
登坂力 ★★★☆☆
スプリント ★★★★☆
実力は折り紙つきのスターライダーです。一瞬の爆発力が魅力のクラシックスペシャリストです。
キャリア最大の勝利は2011年『パリ〜ツール』優勝、2015年ツール第13ステージ優勝でしょうか。
特にクラシックレースでの戦績が良くて、昨年は『ロンド・ファン・フラーンデレン』3位、『パリ〜ルーベ』3位、『アムステル・ゴールドレース』5位、『ストラーテ・ビアンケ』2位、『パリ〜ツール』3位と勝ち切れないながらも表彰台を幾度と獲得しています。
円熟味を増した31歳、ポートとヴァンガーデレンのアシストの合間にステージ優勝の機会を虎視眈々と狙っているに違いありません。
99、ティージェイ・ヴァンガーデレン
国籍:アメリカ
年齢:27歳
脚質:オールラウンダー
独走力 ★★★☆☆
TT力 ★★★★★
登坂力 ★★★★☆
スプリント ★★☆☆☆
2012年、2014年のツールではともに総合5位に入り、2012年は新人ライダー賞を獲得しています。
昨年はツールと『ブエルタ・ア・エスパーニャ』ともに途中リタイヤと精細を欠きました。
期待されながらも、もう一皮むけきれないもどかしさを感じる選手です。
リッチー・ポートを獲得したことで、とうとうヴァンガーデレンのエース体制からダブルエースまたはポートのエース体制へと移行しかねない状況です。
とはいえ、まだ27歳と若い*1ので、将来ツールの頂点を獲るライダーとなるためにも、今大会で存在感を発揮してほしいところです。
しかし、ヴァンガーデレンが存在感を発揮すると、ポートとダブルエースでややこしい事態になりかねないことが、ポート推しのわたしとしては複雑なところであります。
2011年総合優勝時のメンバーを多く揃え、ガチで総合を狙いに行く構成
文中に何度も登場したカデル・エヴァンスがツールを制した際のメンバーが3名残っています。
マイヨ・ジョーヌを確保した際の平地・緩斜面でのアシスト人員を多く揃えていて、集団のコントロールは任せろ!と言った印象です。
あとは、エースであるポートとヴァンガーデレンの出来次第でしょう。
重ね重ねになりますが、わたしはリッチー・ポートに多大なる期待を寄せています。
・関連記事
他のチームの選手一覧も書いています。
*1:自転車選手は30歳過ぎてからが華