スポーツ観戦の良いところは、普段味わえない感情を体験出来るところにあると思います。
その一つが、鳥肌が立つような、ゾクッとするような興奮にも似た沸き立つ感情です。
個人的にいつ見ても鳥肌が立つような、NPBの名シーンを集めて打線を組んでみました。
かなり思い出補正がかかっているので、偏ったチョイスになると思いますが、温かい目でご覧いただければ幸いです。
何度見ても鳥肌の立つNPBの名シーンで打線組んでみた
1番、2010年日本シリーズ、ロッテ・岡田幸文の勝ち越しタイムリースリーベース
もつれにもつれた2010年の日本シリーズ。
負ければ後がない中日はリリーフエースの浅尾拓也をイニングまたぎに次ぐイニングまたぎで、4イニング目に突入していました。
落合監督は、MVP級の活躍をした浅尾と心中する覚悟を決めてマウンドに送っていました。
そうして12回表、迎えるバッターはロッテ・岡田幸文。
岡田は前年に育成ドラフトで指名され、反対する奥さんに「2年だけやれせてくれ」と懇願してプロ野球入りをしました。
2年目の2010年シーズンに、守備の人としてブレークを果たし、レギュラー選手の怪我もあって、日本シリーズ第2戦からスタメン出場していました。
レギュラーシーズンの岡田の打率は.176です。誰も打撃に期待していない中、浅尾と対峙します。
カウント3ボール1ストライクから、甘く入ったストレートを、短く持ったバットで弾き返します。
前進守備の外野陣の頭を越え、勝ち越しのスリーベースヒットとなりました。もちろんレギュラーシーズンでは、スリーベースヒットを打ったことなんかありません。
落合監督は、打たれた浅尾に交代を命じ、守護神の岩瀬を送り出します。
岩瀬を残した状態で、浅尾に4イニング目まで続投させる心中具合も心を打つんですよね。浅尾と岡田のこのシーンは、何度見ても鳥肌ものです。
2番、2002年横浜・石井浩郎引退試合
近鉄→巨人→ロッテ→横浜と渡り歩いたバットマンの引退試合です。
横浜時代の応援歌と、古巣の巨人の応援歌を交互に演奏するなど、球場全体が感動的な雰囲気をつくっていて、グッと来ます。
巨人時代には、代打の切り札として存在感を発揮し、THE・サンデーでは『拝啓、石井浩郎です。』でお馴染みのコーナーも出来て、記録以上に記憶に残る活躍をしていたイメージがあります。
現在は、自民党に所属する参議院議員を務めています。
ちなみに、趣味は将棋です。
3番、2013年日本シリーズ、楽天・田中将大最終回のマウンドへ
2013日本シリーズ第7戦楽天優勝 田中登板~胴上げ - YouTube
凄いの一言です。
田中将大は前日に、160球投げて完投しています。最終回のみとはいえ、近代プロ野球では、なかなか考えられない連投です。
それだけ、この年の楽天は田中に始まり、田中に終わるシーズンだったと言えましょう。
一人で24の貯金を作り出した大エースは、球団創設初の日本一を決め、メジャーリーグの舞台へと渡って行きました。
4番、2000年、巨人・江藤智の同点満塁HR→二岡智宏のサヨナラHRで優勝決定
巨人 超劇的優勝 2000年9月24日 VS中日 9回裏、江藤同点満塁HR、直後、二岡サヨナラ優勝HR - YouTube
優勝がかかった大一番でしたが、中日の先発・前田幸長に手も足も出ないまま、4-0で9回裏を迎えます。
前田の完封が濃厚という状況で、打線がようやく繋がり、1・2塁のチャンスを作り、バッターは松井秀喜を迎えます。
ここで前田をあきらめ、中日は守護神のエディ・ギャラードを送り出します。
松井がヒットでつなぎ、一発が出れば同点という場面を作り出し、球場は大盛り上がりです。
続くドミンゴ・マルティネスがあっさり凡退すると、この年広島からFA移籍してきた江藤智が打席に入ります。
その江藤がギャラードのストレートを一閃振りぬき、同点ホームランを放ちます!
これだけでも劇的なのですが、球場全体の興奮が冷めやらぬ中、続く二岡が2球目をライトスタンドへサヨナラホームランを叩き込むシーンまでがもう本当に鳥肌ものです!
二岡は、2年目のジンクスにどっぷり浸かっていて、このシーズンは絶不調でした。
ところが、決めるところで不思議と決める男が二岡の魅力です。
この勢いをそのままに、ミレニアム対決と言われた長嶋巨人と王ダイエーとの日本シリーズは、4勝2敗で巨人が制しました。
5番、2001年、近鉄・北川博敏の代打逆転サヨナラ優勝決定満塁ホームラン
9回裏完全保存版 2001.9.26 大阪近鉄バファローズ優勝 北川博敏、奇跡の代打逆転満塁サヨナラHR - YouTube
本当に出来過ぎですね!
これ以上ない、劇的な幕切れ。この年の近鉄はこういう神がかった部分がありました。
完全に打ち勝つ野球、というスタイルで優勝したチームはここ20年くらいでは、2001年の近鉄だけだと思います。
北川は阪神から近鉄に移籍した1年目のシーズンであり、この年に初めて一軍に定着し、プロ入り初のホームランを放ったくらいです。
この年以降、近鉄・オリックスのレギュラーとして活躍し、引退後の現在はオリックスの打撃コーチを務めています。
6番、2004年日本シリーズ、続投した中日・岡本真也から満塁HRを打った西武・カブレラ
打ったカブレラも凄いのですが、やっぱり打たれた岡本のことを考えると鳥肌が止まりません。
就任1年目である落合監督は、岡本を中継ぎエースに据えてリーグを制します。
後に2010年に浅尾と心中したように、このシリーズは岡本に全幅の信頼を寄せていました。
6-6と同点で迎えた7回裏に満塁で西武の主砲・カブレラと対峙します。
落合監督は自身がマウンドまで行き、岡本に続投するかどうか聞いたそうです。
もちろん岡本は続投しますと答え、落合監督は続投を決断します。
結果として、勝ち越し満塁ホームランを打たれ、このシリーズの趨勢が決まった感は否めません。
落合監督は岡本を一切責めることなく、「俺の采配ミス」と言って片付けます。
わたしは、こういった中継ぎ投手の悲哀がたまらなく心にグッと来ちゃうんです。
7番、2006年日本シリーズの日本ハム・新庄剛志現役最終打席
06年日本シリーズ 新庄選手現役最後の打席 VS 中里投手 - YouTube
日本プロ野球最後のスター選手と言っていいでしょう、新庄の現役最終打席のシーンです。
2004年にメジャーからNPBに復帰して、「これからはパ・リーグです!」と言って、この年から北海道に本拠地を移転する日ハムに入団します。
そして「札幌ドームを満員にする」「チームを日本一にする」という目標を掲げ、3シーズン目の4月には「今季限りでユニフォームを脱ぎます!」と宣言しちゃいます。
そうして、北海道移転後、初の日本シリーズ出場を決め、日本一が目前に迫った場面が、上の動画のシーンです。
万感の思いだったのでしょう。
球場のファンも、新庄がいたからこそ今の日ハムがあることを全員わかっているからこその大歓声に、鳥肌が立ちます。
8番、2006年巨人・二岡智宏2打席連続満塁HR
これ、現地で観戦していたんですよね。その思い出補正がめちゃくちゃ強いです。
怖いくらいチャンスで二岡に打席がまわってくる日でした。
まず1打席目にライトスタンドに先制2ランを放ちます。
続く2打席目は、満塁の場面でレフトスタンドに完璧な満塁HRを打ち、
3打席目は、またもや満塁の場面でライトスタンドへホームランを打ちます。
右へ左へ広角に打ち分ける二岡のバッティングは本当に好きでした。
そうして4打席目も、ランナー二人置いた状況で打席がまわってくるのですが、さすがに勝負を避けて四球でした。
何かを持っている二岡でしたが、まさかそのような形で移籍することになるとは思いもよりませんでした。
なお、今シーズンより巨人の二軍打撃コーチに就任しています。
9番、2006年オールスター、藤川球児の予告ストレート
すごすぎる…!!の一言です。
パ・リーグを代表する超主力打者であるカブレラ、小笠原道大を相手に、渾身のストレートと全力のフルスイング対決は鳥肌が立ちまくりです!
しかも、カブレラ・小笠原をもってしても、ボールが前に飛ばない…。
何という恐ろしいストレートなんでしょう。
藤川の全盛期のストレートは、野球の浪漫の塊でした。
番外編、2009年WBC決勝のイチローの勝ち越しタイムリー
WBC 2009 イチロー、決勝での一打 - YouTube
ちょうど、大学の卒業式の日だったんですけど、卒業式なんかどうでも良くて、ひたすらスポナビの速報を見ていたことを覚えています。
式典もそこそこに、所属していた研究室に戻り、テレビで中継を見ていました。
10回表、ランナー2・3塁の場面でイチローに打席が回ってきます。
スターは持っていると誰もが思った中で、見事に放った綺麗なセンター前タイムリーに全日本が震撼したことでしょう。
イチローは神で、真のスターだと確信したわたしは、翌年イチローを生で見るために渡米するのでした。
まとめ
今見返しても、色褪せない名シーンの数々でした。
これだから、野球観戦は辞められません。
野球最高です!
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