あきさねゆうの荻窪サイクルヒット

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21世紀の黒い霧。賭博問題は巨人だけの問題にあらず、野球ファン全体で解決していく問題だ。

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今、球界を騒がしている賭博問題ですが、球界にとって初めての出来事ではありません。

今から半世紀も昔の話ですが、「黒い霧事件」と呼ばれる出来事が、今のプロ野球界が当時と同じプロセスを踏んでいるように見えます。

「黒い霧事件」の”最初”の追放者は、西鉄ライオンズ(現・西武ライオンズ)から出ました。

”最初”と書いたのは、一連の出来事が西鉄内で収まらず、球界全体へと広がっていったからです。

そこで「黒い霧事件」について理解を深めることで、同じ轍を踏まないために我々ファンが出来ることは何か考えたいと思います。

黒い霧事件とは?

1969年、ペナントレースの最中に西鉄ライオンズのフロント陣は、チームに八百長が起きていることを疑い調査をしました。

結果、永易将之という投手が八百長に加担していることを認めたため、芋づる式に八百長加担者が発覚して、最終的に永久追放処分6名を含む、19名のプロ野球選手が処分されました。

永易将之は八百長に加担したためで、他に処分を受けた選手は「敗退行為の勧誘を受け、上に報告しなかったため」「八百長の依頼金を受け取っていたため」「オートレースの八百長に協力したため」「野球賭博の疑いがある暴力団と交流したため」などです。

まるで、球界を黒い霧(賭博問題)が覆うような様子から、「黒い霧事件」と名付けられました。

現役の選手がことの発端であったこと、その選手から芋づる式で次なる違反者が発覚したこと、そして何より西鉄球団のみならず、他の球団の選手も八百長・賭博をしていたことが続々と明らかになったことが、現在の問題と重なります。

現代では、まだ他球団に飛び火はしていないですが、しないとも言い切れない状況です。

では、実際にどんな選手たちが違反し、処分を受けていったのでしょうか。

追放処分を受けた選手たち

今回の、福田・笠原・松本竜也・高木京介の比じゃないくらいのド主力選手たちが、処分されています。

池永正明(西鉄)

当時の西鉄のスーパーエースです。

1965年のプロ入りから5年間で99勝を上げ、1967年は23勝を上げ最多勝に輝き、実働6年で通算防御率2.36という非常に安定した超主力投手でした。

本人は、敗退行為の勧誘を受け依頼金を受け取ったが、八百長行為は行っていないと否定しています。
グレーな部分もあったそうですが、永久追放処分という極めて重い処分を受けました。

繰り返しますが、当時のスーパースター級のエース投手です。

本人が強く否定していることもあり、追放処分から35年の時を経て、2005年に復権を許されました。
黒い霧事件で永久追放された選手の中で、唯一復権を許された人です。

与田順欣(西鉄)

毎年、先発にリリーフにフル回転しまくっている主戦投手でした。

1967年には13勝を上げ、200イニング到達、防御率2.44という好成績を収めていました。

永易の証言によると、与田から敗退行為の勧誘を受けたとされています。

また与田本人も、「ぼくたち(与田と益田)がやってないというのもおかしいでしょう」と八百長を認めたため、永久追放処分となりました。

益田昭雄(西鉄)

1968年に巨人から西鉄に移籍後、2年間で60先発以上をこなす主力左腕投手でした。

1969年シーズンには自己最多の8勝(15敗)、防御率3.26というまずまずの成績を残していました。

与田と一緒に敗退行為に参加していたことで永久追放処分となりました。

永易将之を含めた、池永・与田・益田の4名で1969年シーズンは85先発しています。

去年の巨人で言えば、菅野・高木勇人・マイコラス・杉内あたりが一気に追放されたようなものです。

小川健太郎(中日)

この人も、当時の中日の大エースでして、毎年20勝はコンスタンスに勝っていて、1967年には29勝を上げ沢村賞獲得しました。

アンダースローの投手で、王貞治との対決では背面投げを試みたことでも有名です。

小川はオートレース八百長に加担したため、警察に逮捕されています。

小川本人は無類のギャンブル好きだったそうで、福田とその姿が重なります。
実績面でははるかに小川の方が上ではありますが。

森安敏明(東映)

現・日本ハムの前身であるフライヤーズの主力投手でした。

プロ入りから5年で58勝をあげ、1968年シーズンにはリーグ最多の67試合に登板(うち39試合に先発)し、16勝23敗に加え与死球22というシーズン最多日本記録を持っています。

永易から敗退行為の話を持ちかけられ、現金を受理したことが明らかとなったため、プロ入り5年目の23歳の年にプロ野球界から永久追放となりました。

八百長行為を行ったかどうかは本人の証言の限り、不明となっています。

田中勉(中日)

西鉄に入団後、エース級の活躍で1966年には史上9人目となる完全試合を達成しシーズン23勝を挙げます。

森安と同じく、永易から敗退行為の勧誘を受け現金を受け取ったとされています。

永易と同じく1969年シーズンの段階で疑惑が浮上し、当時の所属チームである中日から解雇されました。

それだけでは話は終わらず、小川らが加担したとされるオートレース八百長にも加担していたため、警察に逮捕されるという結果になりました。

いくら当時の野球が登高打低とはいえ、こんなレベルの投手が続々と容赦なく追放されていたほどの大事件だったわけです。

翻って現代のお話

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福田・笠原・マツリュウ・高木京介は、八百長ではなく、野球賭博に興じたことで問題となっています。

小川健太郎がオートレースの八百長に賭けていたように、ギャンブル好きが高じて問題となったパターンと類似しています。

そして、小川健太郎は永久追放処分となったため、福田・笠原・マツリュウは無期失格処分となり、高木京介も同様な処分となることでしょう。

わたしが最も危惧していることは、黒い霧事件の処分対象者は一気に19名処分したわけではなく、証言や調査により芋づる式にあぶり出されて最終的に19名にのぼった点です。

しかも全員が同一チームではなく、様々な球団で起きていたことです。

したがって、今回の野球賭博問題を巨人だけの問題だと思ってはならないということです。

巨人が嫌いな人たちはこぞって、「巨人クソ」「巨人氏ね」とか言っていますが、そういうあなた方の贔屓球団でももしかしたら、という可能性はあると思います。

万が一、巨人以外の球団の選手にも疑惑が浮上した場合、チームの主力選手が無期失格処分や追放処分となっても、おかしくない状況だと思います。

そんなことになったら嫌だなと思いますが、もしやっていたなら仕方がないことだと思います。

そこで大事なのが、ファンがどう対応していくかだと思います。

ファンは野球に熱狂したいが、問題は冷静にドライに対応すべき

http://www.plus-blog.sportsnavi.com/nakami/article/1054www.plus-blog.sportsnavi.com

プロ野球死亡遊戯さんのブログに書いてあることが非常に大事だと思います。

わたしは上ブログを読んで、こうツイートしました。

このツイートはプロ野球死亡遊戯さんにリツイートされまして、多くの方にさらにリツイート・いいねをいただきました。

賭博の問題は冷静に外部機関に調査を依頼して、厳正な処分を行うことで、膿を本当の意味で早く出し切るしかありません。

そして残された選手はまっとうに野球をやるしかないのです。

ファンはそれを、「お前も賭けてんじゃねーの!」みたいなテンションで見ていては前進しないと思います。

その見方でプロ野球界は何年も停滞してきたわけですから、グラウンドではファンも選手も野球にだけ集中して見て行く必要があります。

思えば球界再編問題、裏金問題から本質は変わってない

10年以上前に、「たかが選手が」でお馴染みの球界再編問題に始まり、一場靖弘への裏金問題を経由して、清武の乱、そして野球賭博問題と、巨人はもちろんのこと、野球界は全く進歩していないなと感じます。

どれもこれも球団が後手後手の対応で、ファンはそれをやいのやいのまくし立てて、マスコミが面白おかしく報道し、真面目に野球見ていたファンや、ライトなファンが離れていくという流れが変わっていないなと思います。

newspicks.com

こちらのニュースにあるように、明らかに野球の人気が低下しています。

対して、1位のサッカーであるJリーグでは昨年過去最多の観客動員数を記録しました。

2位のバスケットボールでは、こんなニュースも飛び込んできました。

newspicks.com

あのソフトバンクがバスケットボールのプロリーグのメインスポンサーとなるそうです。

孫さんはプロ野球チームも持っていて、両者がファンを奪い合うような施策は決してやらないと思いますが、バスケットボールがこれから注目され、サッカー・野球に並ぶプロリーグとなる日もそう遠くないなと感じました。

思えばこの10年間、日本プロ野球で躍進した球団は?と聞かれれば、日ハム・楽天・ソフトバンク・DeNAでしょう。

これらの球団は確実に観客動員を増やし、収益も上げています。

日ハム以外の3球団はITベンチャー出身のオーナーチームでして、日ハムも本拠地移転という改革をしました。

対して新聞・鉄道系の球団はどうでしょうか。

巨人・阪神・中日・西武・オリックス(元近鉄)あたりですが、中には勝っているチームもありますが、パッとしない印象です。

個人的な印象もあるのですが、特に東京ドーム・ナゴヤドーム・西武ドームあたりは全然テンション上がらない球場なんですよね。
試合やりゃファン来るっしょ、みたいなトーンを感じざるをえないんですよね。

これからの時代に即して、プロ野球が発展していくには、旧時代の考え方を捨て去る必要がありそうです。

「アンチ巨人」「球界の盟主」「伝統の一戦」「スター長嶋・王」「あの頃は良かった」などなどです。

なんだかんだ、ファンが旧来の考え方を捨て去りきっていないがゆえに、プロ野球界はファンにあぐらをかいて経営しているようにしか見えない球団も多いです。

過去を懐かしむことはいいのですが、これから少年期・青年期を迎える子供たちは松井秀喜の凄ささえよく知らない子供たちなのですから、長嶋・王とか言われてもはぁ?ですよ。

と言うのも、今更巨人や阪神・中日のフロントが改革をするとは思えないですし、マスコミの性質もすぐ変わることはないと思うのです。
それよりかはファンが変化して、間接的にプロ野球界・球団フロントに影響与えていった方が早いと思うんです。

ブログやツイッターの発達により、ファン個人でも情報を発信して影響を与え、ファンの見方を変えることは十分に可能だと思います。

プロ野球死亡遊戯さんは、まさしくその最先端を言っていて、多くの人々の野球の見方を変えたと思います。

私自身も考えを改めて、プロ野球界の前進のために、今年はプロ野球観戦に力を入れて、球場に足を運んでいくとともに、一プロ野球ファンとしてプロ野球の発展を祈って、情報発信していきたいなと思います!

野球について書いた記事

saneyuu.hatenablog.com