雨の降るなか、最初にゴールを駆け抜けたのはペーター・サガン(ティンコフ)でした!
自身ツールでは3年ぶりとなるステージ優勝をあげ、初のマイヨ・ジョーヌ獲得です。
中継開始(残り130km)、3つ目の4級山岳を巡る攻防
雨が降るなか、気温も低く、多くの選手が長袖ジャージ、ウインドブレーカーを着て走っています。
前日、激しく落車した選手が大勢いましたが、誰一人リタイアすることなく出走しているようです。
先頭は、マイヨ・アポワルージュ(山岳賞)を着て走っているポール・ヴォス(ボーラ・アルゴン18)がしっかり逃げを決めて走っています。他には、チームメートのチェザーレ・ベネデッティ(ボーラ・アルゴン18)、ヴェーガル・ブレーン(フォルテュネオ・ヴィタルコンセプト)、ヤスパー・ストゥイフェン(トレック・セガフレード)と4名で逃げています。
しかし、ヴォスは前日の疲れのためか、他の3名にやや遅れています。3つ目の4級山岳を先頭通過したのはストゥイフェン。
この日、4級山岳と3級山岳を先頭通過したため、ば山岳賞ジャージ獲得となりました。
前日に続いて、プロトンでは大落車発生
先頭が残り122kmを通過したころ、集団ではトニ・マルティン(エティックス・クイックステップ)、ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ)らが落車して、前日に続きアルベルト・コンタドール(ティンコフ)、新城幸也のチームメートであるルイ・コスタ(ランプレ・メリダ)らが巻き込まれる大落車が発生しました。
ホアキンもコンタドールもルイ・コスタも、ジャージが破けているなど目立った外傷はなく、ライダー自身への影響はそれほど無いように見えました。
乗っているバイクが破損したのか、バイク交換のために時間を費やしていたようです。
ランプレ・メリダのエース格であるルイ・コスタに対して、新城幸也は自身のバイクの前輪を差し出しているシーンも見られました。
コンタドールは、集団から2分以上遅れているため、アシストを使って集団に追いつくために走っていました。5〜6kmほど走行して、2分差のタイムを埋めて集団復帰を果たします。同じタイミングで新城幸也も復帰しました。
落車も多いですし、有力選手が巻き込まれるシーンが目立っています。
一方で、クリス・フルーム(チームスカイ)、ナイロ・キンタナ(モビスター)、ファビオ・アル(アスタナ)、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ)らの総合陣は影響を受けていないので、アシストたちの位置取りの問題もあるかもしれません。
集団走行では、こういった危機回避のためにプロトン内での位置取りが大切です。
コンタドールの落車への影響
国際中継によるコンタドールへのインタビューが放送されていました。
『昨日はあまり寝られていない。』
『骨への影響はないが、強く打った筋肉への影響が心配。』
『ピレネー山脈までには回復したい。』
と、あまり覇気のない声のトーンで受け答えしていました。
最初のピレネーステージは、第7ステージなので4日後です。1級山岳アスパン峠への登りがあります。
その前にも、第5ステージでは6つのカテゴリー山岳を登る厳しいステージもあります。
このへんでいきなり遅れると、コンタドールのツールが実質的に終了することになりかねません。
残り100km地点では、逃げ集団とメイン集団との差は6分28秒
徐々に雨が止んで、太陽が出てきました。
メイン集団は落車の影響もあって、逃げ集団とのタイム差は広がっています。
今日のレースは逃げ切り展開には、まずならないと思いますので、ステージ優勝を狙うティンコフ、エティックス・クイックステップ、マイヨ・ジョーヌを着るディメンションデータらが先頭で牽いて、逃げ集団を捕まえに行くと思います。
中間スプリント、マイヨ・ヴェール争い勢はグライペルが先着する
逃げの4名を除いた着順は、
アンドレ・グライペル(ロット・ソウダル)
マルセル・キッテル(エティックス・クイックステップ)
アレクサンダー・クリストフ(カチューシャ)
ペーター・サガン(ティンコフ)
マーク・カヴェンディッシュ(ディメンションデータ)
イエンス・デブシェール(ロット・ソウダル)
ブライアン・コカール(ディレクト・エネルジー)
マイケル・マシューズ(オリカ・バイクエクスチェンジ)
という結果になりました。
昨日落車した、マイケル・マシューズも参加していて、元気そうで良かったです。
新城幸也の怪我の状況
どうやら、「左親指突き指、左人差し指裂傷、右肩打撲」とのことで、シフトチェンジは問題ないがスプリントの時に力を入れることが厳しいそうです。
昨晩も、あまり寝れていないとのことで、ちょっと心配です。
元々、大会後半にかけて調子をあげていく予定ではありました。回復しながら、大会後半でのアタックに期待したいところです。
残り10km地点で、逃げ集団とメイン集団のタイム差は2分20秒
ラスト8km地点から始まる登りで、逃げ集団からストゥイフェンがアタックします!
ヴォスとブリーンはついていくことが出来ません。ベネデッティは、すでに平地で脱落していました。
この登りは、思った以上の破壊力があって、メイン集団は破壊されます。
集団の先頭はBMCレーシングが牽きながら、クリス・フルームやペーター・サガンらの姿も見えます。
残り5km地点で、リッチー・ポート(BMCレーシング)がパンクで取り残されるというアンラッキーな事件が起きました。BMCレーシングのアシスト陣は集団の先頭で鬼牽きをしているタイミングだったので、ポートの周りにはアシストが誰もいませんでした。
1分20秒差を持って、最後の登りに突入
ストゥイフェンは、1分以上の差を持って登り始めます!いいペースで登って行きます。
しかし後ろからは、ティンコフ、エティックス・クイックステップ、モビスターあたりが牽く集団が猛スピードで登っていきます。
ピュアスプリンターたちは、前評判通りついていけません。
サガンはしっかりついていっています。
残り2kmでストゥイフェンとメイン集団は40秒差です。
残り1km地点で、とうとうストゥイフェンを捉えました!
同時に最後の登りが始まっていきます。
ストゥイフェンはギリギリまで粘って、残り300〜400mでかわされます。
ロマン・クロイツィゲル(ティンコフ)がサガンを牽いて、坂を登っていきます。
そうして発射されたサガンの横から、ジュリアン・アラフィリップ(エティックス・クイックステップ)がスプリントを開始します!
アラフィリップが先頭を走っていますが、サガンが一気に加速して、アラフィリップを差しきって勝利!!
2位のアラフィリップは悔しそうに、ハンドルバーを何度も叩いていていました。
対照的にサガンは1位にも関わらず、ガッツポーズもせず落ち着いたゴールでした。*1
コンタドールが48秒、ポートは1分45秒遅れてゴール
3位以下は、
3位、アレハンドロ・バルベルデ(モビスター)
4位、ダン・マーティン(エティックス・クイックステップ)
5位、マイケル・マシューズ(オリカ・バイクエクスチェンジ)
という順番でゴールしました。
クリス・フルーム、ナイロ・キンタナ、ファビオ・アル、ロメン・バルデ(AG2R)、ティージェイ・ヴァンガーデレン(BMCレーシング)、ワレン・バルギル(ジャイアント・アルペシン)や、バウク・モレマ(トレック・セガフレード)、ピエール・ロラン(キャノンデール)、ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ)は先頭と同タイムでゴールする一方で、
ヴィンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ) 11秒遅れ
ティボー・ピノ(FDJ) 11秒遅れ
アルベルト・コンタドール(ティンコフ) 48秒遅れ
リッチー・ポート(BMCレーシング) 1分45秒遅れ
ダニエル・ナバーロ(コフィディス) 4分46秒遅れ
と、総合上位を狙う面々に大きなタイム差がついてしまいました。
コンタドールは落車の影響が大きそうで、ポートは不運としか言いようがないアクシデントでした。
初のマイヨ・ジョーヌ獲得でも、マイヨ・アルカンシェルの方が大事?
表彰式では、マイヨ・ジョーヌに袖を通したあと、小さなアルカンシェルのジャージを取り出して、一緒にアピールしていました。
表彰式後のインタビューでは、
『最初はアルカンシェルの方が重みがあると思っていたが、少しずつイエローもいいなと思ってきた。』
『ロマン・クロイツィゲルのアシストがないと今日の勝ちはなかった。』
『(ジャージは数日間キープできるか?)そうだね、できるだけマイヨ・ジョーヌのままで走りたい。』
という感じでした。
マイヨ・ブランを獲得したアラフィリップは、ただただ悔しそうな表情を浮かべていました。
ストゥイフェンは、マイヨ・アポワルージュと共に、敢闘賞も獲得しました。
ただ、本気でステージ優勝出来ると思っていたようで、『集団に抜かれた時は、ショックだった』とのコメントも残しています。
第3ステージはラスト1kmで2%の登りスプリント
細かいアップダウンはありますが、平坦ステージでスプリント勝負に持ち込まれると思います。
ですが、残り1km地点から2%ほどの緩やかな登り坂となっていて、ピュアスプリンターたちへの影響が気になります。
わたしのステージ優勝予想ですが、アンドレ・グライペル(ロット・ソウダル)を推したいと思います。
当然、キッテルやカヴェンディッシュも候補になりますが、二人に比べるとグライペルは登りに強いので、期待したいところです。
他には、今日優勝したサガンも候補になりますし、ジョン・デゲンコルブ(ジャイアント・アルペシン)、ブライアン・コカール(ディレクトエネルジー)も気になるところです。
スカパー、J Sportsでは『ツール・ド・フランス2016』第3ステージの放送は今夜20:55中継開始予定です。
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*1:どうやら、1位でゴールしたと思っていなかったそうです。逃げている選手が2名、先に先着していると勘違いしていたらしい。