日本時間8月6日21時30分にスタートします、リオ五輪男子ロードレースのコースレイアウトと、見どころについて解説します。
日本からは、新城幸也選手と内間康平選手が出場します。
新城選手を含む有力選手についての情報は、↓の記事をどうぞ。
結果速報は、↓の記事をどうぞ。
コースレイアウト
春のクラシックを彷彿とさせる激しいアップダウンや石畳を含む全長237.5kmのコースです。
上の地図の右側がスタート地点であるコパカバーナです。西に向かってひたすら海岸沿いの平坦路を進み、グルマリ周回コース(地図上、一番左)を4周します。
周回後、元来た道を戻りながらゴール付近にあるヴィスタ・チネサの周回コースを3周(正確には2周半くらい)した後、ゴールに向かって海岸沿いの平坦路を走ってフィニッシュです。
この2つの周回コースに、なかなか強力な登りが設定されていることが、今大会の特徴です。
前半のグルマリ周回コース
この周回コースには2つの登りが設定されています。
最初に現れるのは『グルマリ』の登りです。登板距離1.3km・平均勾配9.4%・最大勾配24.1%というパンチ力のある激坂です。
激坂で有名な『フレーシュ・ワロンヌ』に登場する『ユイの壁』は、登坂距離1.3km・平均勾配9.8%・最大勾配26%です。『ユイの壁』に匹敵する登りを序盤から4度こなす必要があります。
続いてグロタ・フンダの登りが登場します。登坂距離2.13km・平均勾配6.8%・最大勾配10.3%となっています。距離が短いので、それほど難易度は高くない登りです。
ただし、この2つの登りの間に石畳区間があります。
タフな路面に、パンクやメカトラが発生して集団から遅れてしまうと、厳しいものがあります。パリ〜ルーベの星で言うと、星2〜3つくらいの難易度だと思われます。
この2つの登りと石畳区間を含む周回コースを4周した後に、後半の周回コースへと向かいます。
後半のヴィスタ・チネサ周回コース
4km登って、1km下って、また4km登るという構成になっています。トータルで距離8.9km・平均勾配6.2%・最大勾配19.9%となっています。
特に前半の4km登りは、平均勾配10%ほどの急な坂道です。後半は比較的なだらかな登り坂です。
さらに、この登りで特筆すべき点は、登った後のダウンヒルです。
地図の形から測定してみたところ、下り坂は6.7kmほどあります。標高530mを6.7kmで一気に下るので、平均斜度は8%ほどです。
かなり危険でハイスピードなダウンヒルになることが分かります。
このダウンヒルを終えると、ゴールまで約9kmほどです。
ダウンヒル後、すぐにゴールではないところがポイントになってくるでしょう。
本番と同じコースを使ったプレ大会の結果
昨年、リオ五輪で使われる周回コースを走るレースが行われました。
上位で完走した選手の脚質を見てみますと、
アレクシス・ヴィエルモ(フランス、AG2R):パンチャー
セルジュ・パウエルス(ベルギー、MTNキュベカ)*1:クライマー
ロメン・バルデ(フランス、AG2R):クライマー
トニー・ギャロパン(フランス、ロット・ソウダル):パンチャー
ユーリ・トロフィモフ(ロシア、ティンコフ):クライマー
ティボー・ピノ(フランス、FDJ):クライマー
と、全員クライマー的な脚質を持っていることが分かります。
スプリンターのベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)、スプリンター寄りのパンチャーであるサイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)*2は、タイム差6分以上ついて完走しているので、最後のヴィスタ・チネサの登りで生き残れていないことが分かります。
したがって、本格的なクライマーあるいは、クライマー寄りのパンチャーの脚質を持った選手同士のサバイバルレースとなることでしょう。
予想されるレース展開
前半のグルマリ周回コースでは、パンクや落車を避けるために落ち着いた展開になるのではないかと思います。
本来なら、激坂や石畳を利用して他の国のアシスト選手を削る動きをしたいところですが、削るだけの動きを出来るような国は限られているので激しい動きは無いのではないかと思います。
その中でもイギリスのチーム力が抜きん出ているので、要注意です。
レースが本格化するのは後半のヴィスタ・チネサ周回コースに入ってからです。
1周目・2周目でアシストを使ってペースアップを図り、スプリントの強いパンチャー選手を振るい落とすことでしょう。
3周目に残ったクライマーたちによるアタック合戦が見られ、少人数のグループに絞られます。
ダウンヒル後の9kmの平坦路のことを考えると、ダウンヒルではアタックしにくいのかなと思います。
よって、無難にレースが展開した場合は、クライマーたち少人数グループによるゴールスプリント勝負になるのではないかと予想します。
博打を打つのであれば、ヴィスタ・チネサの2周目あたりでアタックして逃げ切り勝利を狙うか、最後のダウンヒルで決死のアタックをしかけて、築いたリードを9kmの平坦路で守る展開が考えられます。
単純な登坂力・スプリント力でかなわない選手は、こういった大勝負に出てくることも十分にあり得る、戦略の立てがいのある難易度の高いコースレイアウトと言えましょう。
NHKの特設サイトで、8月6日(土)21時20分からライブ配信で見ることが出来ます。
なお、男子個人ロードTTは8月10日(水)22時00分からスタートです。
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