チームメート2人による献身的なアシストを受けた、マイケル・マシューズ(オリカ・バイクエクスチェンジ)が万感のスプリント勝利を果たしました。
ペーター・サガン(ティンコフ)はマイヨ・ヴェールを奪還しました。
1級山岳は前ステージで逃げ切った選手がポイント獲得
スタート直後から始まる1級山岳の山岳ポイント争いは、
1位、ルイ・コスタ(ランプレ・メリダ)
2位、トム・ドゥムラン(ジャイアント・アルペシン)
3位、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ)
という結果でした。
前ステージで、逃げ切り勝利を飾ったトム・ドゥムランとステージ2位のルイ・コスタが1・2位を獲得しています。
この動きでトム・ドゥムランが58pts、ルイ・コスタが50ptsとなりました。これからのステージでも山岳賞を狙って動いてくることが予想されます。
現在マイヨ・アポワルージュを着用する80ptsのティボー・ピノ(FDJ)とポイント2位で77ptsのラファル・マイカ(ティンコフ)はポイント獲得なりませんでした。
1級山岳後に落ち着いた15人の逃げ集団
今日の逃げは以下のメンバーです。
ミケル・ランダ(チームスカイ)
ゴルカ・イサギーレ(モビスター)
ヴィンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ)
ペーター・サガン(ティンコフ)
サミュエル・ドゥムラン(AG2R)
ダミアーノ・カルーゾ(BMCレーシング)
フレフ・ヴァンアーヴェルマート(BMCレーシング)
エドゥアルド・ボアッソンハーゲン(ディメンションデータ)
スティーブ・カミングス(ディメンションデータ)
ルイ・コスタ(ランプレ・メリダ)
トニー・ギャロパン(ロット・ソウダル)
シルヴァン・シャヴァネル(ディレクト・エネルジー)
ルーク・ダーブリッジ(オリカ・バイクエクスチェンジ)
ダリル・インピー(オリカ・バイクエクスチェンジ)
マイケル・マシューズ(オリカ・バイクエクスチェンジ)
中間スプリント狙いはサガンのみでしょうか。
ゴール前に3級山岳があることから、パンチャータイプの選手が多く逃げいている印象を受けます。
注目は、3名を送り込み、ステージ優勝を狙うオリカ・バイクエクスチェンジのマシューズでしょう。
中間スプリントはサガンが先頭通過
特に競い合うことなく、サガンが先頭通過し、続いてマシューズが通過しました。
これでサガンが217ptsとなり、マーク・カヴェンディッシュ(ディメンションデータ)の204ptsを逆転し、暫定1位になりました。
カヴェンディッシュは、ゴールスプリントに備えていると思いきや、ディメンションデータは2名を逃げ集団に送り込んでいることもあり、メイン集団を牽引して逃げ集団に追いつこうという動きは見られません。
残り20kmに近づいてくると、逃げ集団からアタック
ステージ優勝に向けた動きが活発化します!
インピー、ダーブリッジ、マシューズのオリカ3人衆と、ヴァンアーヴェルマート、ボアッソンハーゲン、サガン、S・ドゥムランが先行しました。
残りの逃げ集団は、先行した集団を追いかけるも、先行したメンバーが強力すぎるため差が縮まりませんでした。
メイン集団は、ほとんど逃げを容認した状況となり、先行する逃げ集団とメイン集団とのタイム差はどんどん広がります。
この先行する集団によってステージ優勝が争われることになり、ダーブリッジ以外の6名はみなスプリントが強力なメンバーです。
とりわけサガンの力は際立っていますが、アシストを2人残しているマシューズにも十分勝機がある状況です。
3級山岳の登りでオリカの波状攻撃が始まる
ダーブリッジが先頭固定で先行する逃げ集団を牽いて、後続の逃げ集団との差を決定的なものにします。
3級山岳の登りに入ると、まずはサガンがアタックを仕掛けます。
ダーブリッジはここでお役御免となりましたが、他の6名は難なくチェックします。
続いて、オリカのもう一人のアシストのインピーがアタックを仕掛けます。
この動きを見送るわけにはいかないので、サガンがチェックします。その背後にピタリと、マシューズがマークします。
サガンがインピーに追いつくと、再びインピーがアタックする。
という流れがしばらく続きます。
インピーがひたすらサガンに揺さぶりをかけてサガンの力を少しでも消耗させようと、マシューズへの間接的な非常に身を粉にしたアシストです。
ボアッソンハーゲン、S・ドゥムラン、ヴァンアーヴェルマートもサガン、マシューズの後ろで力を溜めながらチャンスをうかがいます。
3級山岳の下り坂でサガンは動かず
サガンが先頭で下り坂へと突入します。
すると、ボアッソンハーゲンがアタックを仕掛けます。
しかし、サガンを含め全員に脚が十分に残っている状況では、決定的な差をつけることは出来ません。
サガンもこの短い下り坂では、差をつけられないと判断していたのか、アタックする動きを見せることはありませんでした。
下りきった後の平坦区間では、再びインピーがアタックして、サガンがチェック、マシューズがマークという流れを2ループくらい繰り返して、インピーを先頭にフラムルージュをくぐります。
残り400mを切って、最初に動いたのはヴァンアーヴェルマートです!
すかさず、全員スプリント体勢に入ります
ヴァンアーヴェルマートが先行し、サガンが加速する中、インピーとダーブリッジの献身的なアシストをずっと受けていたマシューズが大外から伸びてきます!
そのままマシューズが先頭でゴールしました!
ゴール前でのトップスピードは66.82km/h出ていたそうです。
https://twitter.com/letourdata/status/752886857847934976
残り300mからのスピードの伸びが凄まじいですね!
サガンは2位で、さらにポイントを重ねて242ptsとしました。カヴェンディッシュは変わらず204ptsです。
メイン集団は、ポイント争いも総合争いもせずに、まったりとゴールしました。
先頭のトレック・セガフレードの選手2人が、無駄にハンドルを投げ出してゴールしていたことに笑っちゃいました笑
サガンはマイヨ・ヴェール再々奪還、敢闘賞も獲得
サガンはマイヨ・ヴェールを何度目かの奪還です。
逃げ集団の中でも、度重なるオリカの攻撃を、実質的に一人で受けて立っていたサガンが敢闘賞も獲得となりました。
マイヨ・ジョーヌはクリス・フルーム(チームスカイ)がキープ、マイヨ・アポワルージュはティボー・ピノ(FDJ)がキープ、マイヨ・ブランはアダム・イェーツ(オリカ・バイクエクスチェンジ)がキープしています
ピノの顔色が今日はとても良かったことが気になりました。
あきさね的チェックポイント
ロードレースで最も美しい瞬間とも言えるチームワークの勝利
ガッツポーズをしているのは、ダーブリッジです。
3級山岳の手前まで、全開でマシューズを牽いて、後を託して遅れてゴールした際の写真です。
この姿がサイクルロードレースの本質を表していると思います。
ロードレースは自分は1位でなくても、チームメートが1位になることで報われるチームスポーツです。
エースであるマシューズで、チームとして勝つために、ダーブリッジとインピーは超献身的なアシストをしました。
最後の直線では、二人の想いを込めて、マシューズが全力のスプリントをします。
そうして、見事に勝利をしました。
相手は、世界チャンピオンのサガンに、強力なスプリント力を持つボアッソンハーゲンがいて、勝つのは容易なことではありません。
そういう状況でもしっかり勝ち切る、マシューズは最高にカッコ良かったです!
レース後のインタビューでも、非常に嬉しそうに
『ダーブリッジとインピーの力を全て受け取って、全力を出せて良かったよ』
と、チームメートの名前を出していることが印象的でした。
総合勢にとっては休息日??
と思いきや、今日のステージは平均時速45キロというハイスピードな展開でした。
序盤はアタック合戦のコントロール、中盤は降雨と横風の影響もあり、ナーバスな場面も多々あったと思われます。
終盤はまったりとしたペースとなりましたが、序盤・中盤で集団コントロールしていたスカイのアシスト陣には多少のダメージはあったのではないかと思います。
ほとんど影響はないかと思いますが、念のためこのことも覚えておきたいと思います。
明日の第11ステージは、オールフラット
今ステージのように、ゴール前にアップダウンも少ないため、明日はピュアスプリンターたちによる集団スプリント勝負になるのではないかと思います。
ステージ優勝予想は、まだ今ツールでステージ優勝のないアンドレ・グライペル(ロット・ソウダル)を推したいと思います。
マルセル・キッテル(エティックス・クイックステップ)、アレクサンダー・クリストフ(カチューシャ)、ブライアン・コカール(ディレクトエネルジー)も有力です。
マーク・カヴェンディッシュ(ディメンションデータ)は、相棒のマーク・レンショーを失ってしまったので、厳しいのかなと思います。
他にも若手スプリンターのダニエル・マクレー(フォルテュネオ・ヴィタルコンセプト)、クリストフ・ラポルテ(コフィディス)にも注目したいです。
明日第11ステージは、スカパー・J Sportsで20:55から中継開始予定です。実況は永田実さん、解説は永井孝樹さんです!
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