トム・ドゥムラン(ジャイアント・アルペシン)が異次元の走りを見せ、唯一の50分台を叩き出し優勝しました。
クリス・フルーム(チームスカイ)は前日の落車・ランニングの影響もなく、総合ライバルから1分以上差をつけて、タイム差を広げました。
前日の夜に、ニースでテロ事件が発生。主催者とチームで話し合い、レースは続行。
仏ニースで歩道にトラック突入、70人超死亡 テロ事案として捜査 写真19枚 国際ニュース:AFPBB News
本日のコースと近い、ニースでテロ事件が発生しました。
『テロに屈しないことを示す必要がある』
『レースを続けることが大事なメッセージ』
とのことで、主催者とチーム関係者で話し合いの結果、ツール・ド・フランスは続行すると決定しました。
レース前には黙祷を捧げてから、スタートとなったようです。
DNSは2名
サイモン・ゲランス(オリカ・バイクエクスチェンジ)と、ティボー・ピノ(FDJ)がリタイアとなりました。
ゲランスは前日の落車で鎖骨を折ってしまい、リタイア。
ピノは、気管支炎のためリタイアとのことです。
マイヨ・アポワルージュを十分に狙える位置にいた、ピノのリタイアは非常に残念です。
前日に引き続き、強風が吹くコース
選手は時折バイクが左右に振られるほどに、強い横風が吹いている箇所もあるようです。
風に関しては、体格の良い選手は受ける影響が少なく、小柄な選手は風の影響を受けやすいと言われています。
トム・ドゥムラン(ジャイアント・アルペシン)や、トニ・マルティン(エティックス・クイックステップ)などは風に強く、ナイロ・キンタナ(モビスター)、ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ)などは風に弱いと言えましょう。
中継開始時点でのトップタイムは、ネルソン・オリベイラ(モビスター)で、52分46秒です。
ラストツールのファビアン・カンチェラーラ(トレック・セガフレード)は44秒遅れの53分30秒、昨年のツール個人TTで優勝したローハン・デニス(BMCレーシング)は10秒遅れの52分56秒でした。
大本命、トム・ドゥムランがトップタイムを計測
第1計測ポイントで、暫定1位のオリベイラを10秒上回る好走を見せます。
第3計測ポイントでは、オリベイラを54秒上回っています!
強風も、上り坂も苦にしない、本物のTTスペシャリストを感じさせる爆走ぶりです。
ゴールまで全くスピードは落ちることなく、オリベイラの記録を1分31秒更新する50分15秒の好タイムを記録しました!
風洞トレーニングを今年初めて行ったピエール・ロラン
元所属チームのユーロップカー(現ディレクトエネルジー)へのディスでお馴染みのピエール・ロラン(キャノンデール)です。
アメリカに本拠地を置く、キャノンデール・ドラパックでは科学的なトレーニングをたくさん行っていて、ロランは空洞での空気抵抗を加味したトレーニングを生まれて初めて経験したそうです。
科学的なトレーニングを積んで、挑む今シーズンですが、ここまで全く良いところがありません。
肝心のTTでの成果はどうなのか、個人的に注目していたのですが、結果は56分11秒でステージ68位と全く奮いませんでした…。
ロランの科学的なトレーニングの成果が出るのは来年以降なのでしょうか。
リッチー・ポート(BMCレーシング)
2分22秒遅れの総合11位のリッチー・ポートです。得意のTTであわよくばタイム差を詰めたいところです。
第1計測ポイントでは、14分26秒で通過して、ドゥムランから10秒遅れ、オリベイラと同タイムで、非常に良いペースで進んでいます。
第2計測ポイントでは、1分8秒遅れで暫定12位で通過しました。第1計測では暫定2位で通過したので、下りと平坦区間でタイムロスしたことになります。
第3計測ポイントでは、2分3秒遅れで暫定15位で通過しました。徐々にペースが落ちています。
そうして、3分8秒遅れでフィニッシュ。3分8秒遅れの53分23秒で、ステージ21位でした。
最初の登りで飛ばしすぎたのか、第1計測ポイント以降は徐々にタイムを落としていってしまいました。
ファビオ・アル(アスタナ)
第3計測ポイントでは、3分2秒遅れです。
結果、4分25秒遅れでフィニッシュ。4分25秒遅れの54分40秒で、ステージ37位でした。総合勢の中では、
ティージェイ・ヴァンガーデレン(BMCレーシング)
第3計測ポイントで、1分37秒遅れ
2分50秒遅れの53分5秒で、ステージ16位でした。
アレハンドロ・バルベルデ(モビスター)
第1計測ポイントでは、ドゥムランから32秒遅れの14分48秒でした。
第3計測ポイントでは、1分46秒遅れです。
最終的に、2分48秒遅れの53分3秒で、ステージ15位でした。
ロメン・バルデ(AG2R)
第1計測ポイントでは、1分3秒遅れ。
第3計測ポイントでは、2分49秒遅れでした。
最終的に、3分52秒遅れの54分7秒で、ステージ30位でした。
バウケ・モレマ(トレック・セガフレード)
第1計測ポイントは、31秒遅れ。
第2計測ポイントは、58秒遅れで、8位。
第3計測ポイントは、1分28秒遅れ。
1分54秒遅れの52分9秒で、ステージ6位でした。
ナイロ・キンタナ(モビスター)
第1計測ポイントは、50秒遅れ。
第2計測ポイントは、1分49秒遅れの暫定45位。
第3計測ポイントは、2分30秒遅れ。
3分8秒遅れの53分23秒で、ステージ20位でした。
アダム・イェーツ(オリカ・バイクエクスチェンジ)
第1計測ポイントは、32秒遅れ。
第3計測ポイントは、2分16秒遅れ。
3分1秒遅れの53分16秒で、ステージ18位でした。
クリス・フルーム(チームスカイ)
第1計測ポイントでは、17秒遅れの14分33秒で通過しました。
第2計測ポイントでは、32秒遅れの5位です。ポートより36秒早く、キンタナより1分17秒早く通過しています。
第3計測ポイントでは、47秒遅れの2位です。
非常に良いペースを保ちながら、1分3秒遅れの51分18秒でフィニッシュし、ステージ2位でした。
ライバルたちから1分以上差をつける実質的な圧勝です!
そして、ドゥムランの今大会2度目のステージ優勝が決定しました!
総合タイムはフルームが独走状態に入ったか
フルームが2位のモレマに1分47秒差、3位のイェーツに2分45秒差、4位のキンタナに2分59秒差をつけています。
これまでの戦いぶりを見ても、フルームにこれ以降のステージでタイムを失う理由が見当たりません。
何かトラブルでもない限り、フルームが相当有利な状況と言えるでしょう。
とはいえ、1分47秒差は決して多くはないタイム差なので、スカイアシスト陣を含め油断ならない日々は続くでしょう。
レース後はニースでのテロ事件に配慮して表彰式は中止
代わりに、ステージ優勝選手と各賞ジャージ所有者がステージ上にあがり、喪章をつけて黙祷を捧げました。
フルームもこの表情です。
ニースは地中海に面する都市で、年間を通して観光客の絶えない街です。
さらには前日の7月14日はフランス革命記念日であり、ニースでは花火大会があったそうです。
つまり、日本で置き換えれば江ノ島花火大会の後に鎌倉でテロ事件が起きているようなものです。大変な事件です。
それでも、平常心を保って、しっかりとレースをこなした選手たちのプロフェッショナル精神を称えたいと思います。
あきさね的チェックポイント
次の個人山岳TTの見込み
今回のコースはスタート直後と、ゴール前に登りが設定されていました。
そこで、第3計測ポイントでのタイムからゴール地点までに、どれほどタイムが遅れたかを調べてみました。
ある程度つかれた状態で、登りをこなせるかどうかを表す数字となるので、次の山岳TTを占う指標になると思います。
結果は、
フルームは16秒
イェーツは45秒
キンタナは38秒
モレマは26秒
バルデは1分3秒
バルベルデは1分2秒
ヴァンガーデレンは1分13秒
アルは1分23秒
ポートは1分5秒
です。
そのまま総合順位にも当てはまるような結果となりました。
モレマの好調ぶりが非常に目立ちます。
キンタナはモレマより登れないと見られても仕方がないように見えます。
キンタナは山岳TTで巻き返すと、周りは見るでしょうが、わたしは逆に離されるんじゃないかと心配です。
イェーツもマイヨ・ブラン獲得に向けて、とても安定した走りで表彰台獲得の期待も高まって来ました。
ポートは最初の登りのペースは良かったですが、ペース配分のミスなのでしょうか。先行きが読めないダークホース的な存在となりそうです。
明日の第14ステージは、フラットなスプリンター向きステージ
4級山岳が3箇所ありますが、スプリンターにとっても問題にならない登りです。
後半に中間スプリントポイントが配置されています。
総合系チームも一休みしたいところです。
ゴール前も完全にフラットであり、今度こそスプリンターたちによる集団スプリントになると思います。
本日のドゥムラン勝利で、ようやく予想が当たりました笑
明日のステージ優勝予想は、アンドレ・グライペル(ロット・ソウダル)を推したいと思います!
第12ステージで逃げに乗り、チームメートのデヘントも勝利したとあって、ロット・ソウダル自体良い雰囲気になっていると思います。
マルセル・キッテルのエティックス・クイックステップは、ダン・マーティンが本日のTTで失速したこと、トニ・マルティンの走りも冴えず、何だかチーム全体がかみ合っていないように見受けられます。
なので、グライペルの今ツール初勝利を期待して観戦したいと思います!
明日第14ステージは、スカパー・J Sportsで20:55から中継開始予定です。実況は谷口廣明さん、解説は栗村修さんです。
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