久々の集団スプリントを、マーク・カヴェンディッシュ(ディメンションデータ)が制し、4勝目をあげました。
カヴにとっては、ツール通算30勝目となる節目の勝利です。
また、今大会絶好調のカヴェンディッシュのスプリントについて解説してみました。
連日の強風ステージ、今日の逃げは4名
The 187 riders will have to contend with wind again today - gusts of up to 60km/h expected 💨💨💨#TDFdata #TDF2016 pic.twitter.com/y21NcwPbr5
— letourdata (@letourdata) 2016年7月16日
@letourdataのデータによると、『最大時速60キロの突風』が吹いているようです。
画像の赤い部分が向かい風なので、序盤は特に強い向かい風が吹き荒れているようです。
そのため、逃げても向かい風に消耗するだけなので、積極的に逃げようとする選手が少なかったようです。ツールのような大舞台では珍しいことです。
結果的に、4名の逃げが決まりました。
アレックス・ハウズ(キャノンデール)
ジェレミー・ロワ(FDJ)
マルティン・エルミガー(IAMサイクリング)
チェザーレ・ベネデッティ(ボーラ・アルゴン18)
↑タイム差を教えてくれるお姉さんの笑顔に癒やされる選手も多いとか
中間スプリントは、サガンが先着
逃げの4名を除くと、
5位、ペーター・サガン(ティンコフ)
6位、マルセル・キッテル(エティックス・クイックステップ)
7位、マーク・カヴェンディッシュ(ディメンションデータ)
8位、ブライアン・コカール(ディレクトエネルジー)
という着順で、アンドレ・グライペルは参加しませんでした。
実質的にマイヨ・ヴェールはほとんどサガンのものとなっているので、サガンにもしものことがあった時のために、他の選手もポイントを稼ぎに行くという様子です。
リタイア者が相次ぐ
マティアス・フランク(IAMサイクリング)、マッティ・ブレシェル(キャノンデール)が途中リタイアとなりました。
フランクはIAMのエース格だった選手なだけに、残念です。
逃げ集団とのタイム差は30秒前後をキープしながら、残り10kmを切る
逃げの4名もギリギリまで捕まらないように、粘っています。
ハウズとベネデッティが脱落して、エルミガーとロワが逃げ続けます。
かなり粘りに粘って、残り3km地点で吸収されます。
↑お互いの健闘をたたえ合いながら握手
各チームがトレインを組んで、久々に本格的なスプリント勝負が見られることになりそうです。
カヴェンディッシュが好位置をキープして4勝目をあげる!
エティックス・クイックステップが先頭に躍り出ます。
この動きは早すぎたのか、残り1km地点ではロット・ソウダルとカチューシャのトレインに先行を許してしまいます。
ところが、キッテルのリードアウトを務めるファビオ・サバティーニが猛烈な牽きを見せ、一気に先頭に踊り出ます。
キッテルの背後でタイミングをうかがっていたカヴェンディッシュがスパートをかけ、そのままキッテルをまくってゴール!
今大会4勝目をあげました!
カヴの相棒とも言えるマーク・レンショー(ディメンションデータ)がいなくても勝てることを証明しました。今ツールでは完璧なスプリントを見せ続けてします!
また、春先の大怪我から復活を期するジョン・デゲンコルブ(ジャイアント・アルペシン)が4位に入ったことも朗報です。
この日が誕生日だったグライペルは6位と奮いませんでした。
ツール通算30勝目、メルクスの記録まであと4勝
カヴェンディッシュにとって、節目となるツール通算30勝目をあげました。
ツールの最多勝利記録はエディ・メルクス(ベルギー)の通算34勝です。
完全に射程圏内にとらえたと言っていいでしょう!
今年中の更新は難しいですが、来年に大いに期待が持てそうです。
敢闘賞は逃げの達人であるロワが獲得しました。
ラスト10km切ってからの粘りの逃げは素晴らしかったです。
あきさね的チェックポイント
カヴェンディッシュの見事すぎるポジショニング
本来であれば、レンショーの役目である、好位置まで引き上げる仕事をカヴェンディッシュ自身でこなした感じがします。
パワーだけに頼らない非常に素晴らしいスプリントだったので、徹底解説してみました!
↓↓
カヴェンディッシュの強さの秘訣がよく分かるかと思います。
明日の第15ステージは、8つの山を登る非常にタフなステージ
非常に厳しいステージです。
カテゴリー山岳は6つありますが、カテゴリーがついていませんが、決して楽ではない登りがもう2箇所あります。
終盤の超級山岳グラン・コロンビエールを登った後は、長いダウンヒルが待っています。
その後は、しばらく平坦路を走って、ラスト1級山岳グラン・コロンビエールを再び登って、また下ってゴールというテクニカルなレイアウトになっています。
頭をよぎるのは、第8ステージの下り坂でアタックしたクリス・フルーム(チームスカイ)です。
今回も再び下り坂でアタックしてくるのではないかと、各チームは警戒することでしょう。
スカイは各チームのダウンヒルに強いアシストをいかに削り取れるかが重要です。
ここまでの展開を見ていると、モビスターのアレハンドロ・バルベルデくらいしか超級山岳を越えて、下りにも強い選手は見当たりません。
アスタナのヴィンチェンツォ・ニーバリも可能性がありますが、肝心のファビオ・アルがいまいちなので微妙なところです。
つまり、フルームにとってはタイム差を広げるチャンスと言えるでしょう。
そして、ステージ優勝予想は、恐らく逃げ切り勝利が決まる展開になると思うので、予想がめちゃくちゃ難しい(と言っても、これまでのステージでもほとんど外していますが…)ので、好きな選手を応援したい!という意味で、ラファル・マイカ(ティンコフ)を推したいと思います!
あとは、先日の個人TTで非常に良い走りを見せていたステフ・クレメント(IAMサイクリング)にも注目しています。エース格のマティアス・フランクがリタイアしたので、クレメントは自由に動けるのではないかと思います。
ダニエル・ナバーロ(コフィディス)も、めげずにアタック仕掛けて来るのではないかと思います。
そして、カテゴリー山岳が6つもあって、頂上フィニッシュではないため、山岳賞争いにも注目です!
トーマス・デヘント(ロット・ソウダル)、トム・ドゥムラン(ジャイアント・アルペシン)、ルイ・コスタ(ランプレ・メリダ)あたりが逃げるかどうかにも注目です。
明日第15ステージは、スカパー・J Sportsで19:35からレーススタートから中継開始予定です。ナビゲーターは白戸太朗さん、解説は栗村修さん、ゲスト解説は井上和郎選手です。
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