※選手の脚質や役割、実績を記載しています。
昨年の『ブエルタ・ア・エスパーニャ』総合優勝のファビオ・アルがエース、今年の『ジロ・デ・イタリア』総合優勝のヴィンチェンツォ・ニーバリがアシストという豪華布陣のアスタナ。
ニーバリ以外のアシスト陣も他チームならエース級の選手ばかりです。
昨年のブエルタから、今年のジロ、そして今大会のツールとアスタナ3連勝を飾れるか見ものです。
※ブエルタ・ア・エスパーニャ2016の出場選手情報については
ブエルタ・ア・エスパーニャ2016 出場選手一覧&チームレビュー
をご覧ください。
(2016.7.6更新)
アスタナ、ツール出場メンバー
21、ファビオ・アル
Fabio Aru seals Vuelta a Espana title as John Degenkolb wins stage 21 | Cycling News | Sky Sports
国籍:イタリア
年齢:25歳
脚質:クライマー
独走力 ★★★☆☆
TT力 ★★★☆☆
登坂力 ★★★★★
スプリント ★★☆☆☆
2015年『ブエルタ・ア・エスパーニャ』覇者である、イタリア人クライマーです。
2014年『ジロ・デ・イタリア』総合3位、2014年ブエルタ総合5位、2015年ジロ総合2位と、総合ライダーとして突出した成績を収めています。
昨年、総合優勝を果たしたブエルタでは、大会最終盤の第20ステージに、アスタナのチーム力を活かした総攻撃によって、それまで総合1位を守っていたトム・ドゥムラン(ジャイアント・アルペシン)を失速させました。
今年は、ミケル・ランダ(前アスタナ、現チームスカイ)を失いましたが、相変わらず非常に強力なアシスト陣が揃っています。
ツール前哨戦となっている『クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ』では、第3ステージで力強い独走勝利を果たす一方で、山岳ではクリス・フルーム(チームスカイ)、アルベルト・コンタドール(ティンコフ)らの加速についていけない場面も多々見受けられました。
果たして調子は万全なのか、不調なのかイマイチ読めてないところが不安材料です。
22、ヴィンチェンツォ・ニーバリ
Vincenzo Nibali: tutte le vittorie, dagli inizi al Giro d'Italia 2016 - Panorama
国籍:イタリア
年齢:31歳
脚質:オールラウンダー
独走力 ★★★☆☆(ダウンヒルでは★5つ)
TT力 ★★★★☆
登坂力 ★★★★★
スプリント ★★★☆☆
今年の『ジロ・デ・イタリア』総合優勝を果たした、三大グランツールそれぞれ優勝経験のある超一流トップ選手です。
そんなトップ選手であるニーバリは、アルとダブルエースの布陣と言われていますが、アルのアシストに回る公算が高いです。*1
アルからしてみれば、最強に心強い相棒となります。
ニーバリの最大の武器は、何と言ってもダウンヒルが抜群に速いことです。
今大会は、山岳ステージが多い構成となっています。裏をかえせば下り坂も多いということです。
アルと共に登りでアタックを仕掛けて、ライバルから奪ったリードを、ニーバリが得意の高速ダウンヒルでアルを牽き、築いたリードを守り切る展開が考えられます。
ニーバリが全力でアシストに回ることになれば、3大グランツール覇者がアシストという他のチームにはない強力な強みとなることでしょう。
23、ヤコブ・フグルサング
Jakob Fuglsang kører Danmark Rundt
国籍:デンマーク
年齢:31歳
脚質:オールラウンダー
独走力 ★★★☆☆
TT力 ★★★★☆
登坂力 ★★★★☆
スプリント ★★★☆☆
かつては、シュレク兄弟をアシストし、アスタナ移籍後はニーバリをアシストしてきた選手です。
その実力は「他のチームに移籍したらエース級」と言わしめるほどです。
エース選手のアシストに徹してきたためか、ビッグレースでの勝利経験も乏しくなっています。
今年のジロでもニーバリをアシストしながら、自身も総合12位で完走しました。
豊富な経験を持ったフグルサングは、今大会でもオールラウンドにアルを助ける存在となることでしょう。
24、アンドレー・グリブコ
Site officiel du Tour de France 2022
国籍:ウクライナ
年齢:32歳
脚質:パンチャー、TTスペシャリスト
独走力 ★★★★☆
TT力 ★★★★☆
登坂力 ★★☆☆☆
スプリント ★★★☆☆
国内TTチャンピオンに5度輝く、TTスペシャリストです。
求められる役割は平坦ステージでの集団コントロールのための先頭牽引でしょう。
メンバー構成の9人中7人がクライマー寄りの脚質を持っているため、平地に強いグリブコは非常に貴重な存在です。
グランツールは12回出場し11回完走しているため、山岳ステージも問題なく走り切ることが出来ると思います。
25、タネル・カンゲルト
Kangert läheb Girole, pisitütar Johanna jääb koju - Eesti Päevaleht
国籍:エストニア
年齢:29歳
脚質:クライマー
独走力 ★★☆☆☆
TT力 ★★★☆☆
登坂力 ★★★★☆
スプリント ★★☆☆☆
今年のニーバリのジロ制覇を支えたアシストの一人でして、自身も総合23位で完走しています。
今度はアルを支える番です。
山岳ステージの多い今大会では、一人でも多くのクライマーがいた方が有利でしょう。厳しい山岳ステージでエースと他のアシストのためにボトルを運ぶことも重要な仕事の一つです。
26、アレクセイ・ルトセンコ
国籍:カザフスタン
年齢:23歳
脚質:クライマー、オールラウンダー
独走力 ★★★☆☆
TT力 ★★★☆☆
登坂力 ★★★★☆
スプリント ★★☆☆☆
アスタナの本拠地でもあるカザフスタン期待の若手ライダーです。
20歳のときに、U-23世界選手権を制しています。また、22歳の昨シーズンには、カザフスタンの国内TTチャンピオンに輝いています。
今シーズンは、『パリ〜ニース』第5ステージにて、終盤30kmほどをほぼ独走状態で逃げ切り勝利をあげています。ポテンシャルは高そうです。
グランツールは3度目となりますが、経験のためでなく、戦力としてアスタナは見ているに違いありません。
27、ディエゴ・ローザ
Team Sky and Bora-Argon 18 interested in signing Diego Rosa | Cyclingnews
国籍:イタリア
年齢:27歳
脚質:クライマー
独走力 ★★☆☆☆
TT力 ★★☆☆☆
登坂力 ★★★★☆
スプリント ★☆☆☆☆
アルのブエルタ制覇を支えたアシストの一人で、昨年のブエルタは20位完走でした。
今年のジロは出場せず、ツールで再びアルをアシストします。
今シーズンは春先の『バスク一周レース』第5ステージ優勝、ドーフィネ総合8位と調子は上々です。
28、ルイスレオン・サンチェス
CyclingQuotes.com Luis Leon Sanchez: I am happy to return to World Tour
国籍:スペイン
年齢:32歳
脚質:オールラウンダー、パンチャー
独走力 ★★★★☆
TT力 ★★★★☆
登坂力 ★★★★☆
スプリント ★★★☆☆
『ツール・ド・フランス』ステージ優勝4回を誇る、トップレーサーの一人です。
ニーバリと同じく、LLサンチェスもダウンヒルの名人の一人です。
その象徴となったレースが、昨年のブエルタ第20ステージでのことです。
LLサンチェスは逃げ集団に乗って力を温存しながら(逃げ集団のローテーションに加わらない)、アルに先行します。
最後から2番目の山岳にてアルがアタックを仕掛け、総合1位のドゥムランに決定的な差をつけます。
しかし、ドゥムランはTTスペシャリストであり、ダウンヒルは得意としているため、下り坂でアルに追いつく可能性がありました。
実際、ドゥムランは決死のダウンヒルを敢行し、アルを視界に捉えるところまで追い上げました。
そこで、先行していたLLサンチェスがアルと合流します。フレッシュでかつダウンヒル・平坦路に強いLLサンチェスがアルを全力で牽引します。
そうして、ドゥムランとのリードを保ったまま最後の山岳を登り始めた時点で勝負ありでした。こうして、アルは逆転でマイヨロホ(総合ジャージ)を獲得したのでした。
個人的にも非常に好きな選手の一人でして、今大会でも絶妙なアシストを楽しみにしています。
29、パオロ・ティラロンゴ
CyclingQuotes.com Tiralongo given Fair Play Award
国籍:イタリア
年齢:38歳
脚質:クライマー
独走力 ★★☆☆
TT力 ★★☆☆
登坂力 ★★★★☆
スプリント ★★☆☆☆
グランツール出場24回の大ベテランクライマーです。
2010年ツールでは、アルベルト・コンタドール(ティンコフ)の強力な山岳アシストとして大活躍しました。
自身もジロで3度のステージ優勝をとるなど、レーサーとしての実力も申し分ありません。
豊富な山岳アシストを擁し、盤石の布陣を整えたアスタナ。あとはアルの調子次第
ニーバリ、フグルサング、カンゲルト、ルトセンコ、LLサンチェス、ローザ、ティラロンゴと山を登れる選手が7名も揃っています。
あとは、平坦ステージと山岳ステージの平坦部で誰が先頭を牽くかという話です。
グリブコ以外には、フグルサング、LLサンチェスが平地での独走力に長けています。通常時はみんなでローテーションしながら走り、逃げ集団を捕まえにかかるときは、グリブコ、フグルサング、LLサンチェスで回すのだと思います。
何はともあれ、鉄壁とも言えるアシスト陣を揃えました。
あとは、本当にアルの調子次第な点が最も心配な部分でもあります。
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他のチームの選手一覧も書いています。
*1:わたしもニーバリはアルをアシストすると思いますので、ニーバリはアルのアシストという前提でこの後も書いて行きます。