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あきさねゆうの荻窪サイクルヒット

アラサー男子がブロンプトン・ロードバイク・プロ野球・メジャーリーグ・ラーメンネタ中心にお送りします。

サイクルロードレースの戦略〜山岳コース編〜

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サイクルロードレースの王道と言えば、『山』です!

シャカリキ!』の主人公も山に強いクライマー、『弱虫ペダル』の主人公もクライマー、『ヒルクライマー』という山に登る人を描いた小説まであります。

自転車乗りの行き着くところは『山』です。

ツール・ド・フランスのマイヨ・ジョーヌ争いも、ほぼ毎年『山』が決戦の地となります。

そんな『山』で戦う、プロたちはどんなレース運びをするのか解説します!

目次

山岳アシストの役割は、風よけ1割・気持ち9割

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↑エースのフルーム(黄色いジャージ)をアシストする、ポエルスとポート

登り坂では、傾斜が8〜10%くらいになると、トッププロでも時速20〜25キロ前後での走行となります。

時速20〜25キロくらいだと、ドラフティング効果(前を走っているライダーを風よけにする)が薄いです。

平均勾配5〜6%の斜面であれば、時速30キロ以上出すこともあると思います。その際は、風よけとして山岳アシストが力尽きるまでエースを引っ張ることもできます。

ところが、斜度がキツくなるにつれドラフティング効果が薄れるため、山岳アシストがエースに物理的に貢献することは出来なくなります。

それでも、山岳アシストがエースの前に出て牽くことには、気持ち的な意味が強いです。『おれのためにこんなに頑張ってくれている。チームメートのためにも、このレースで絶対勝つぞ!』みたいな感じです。

最終的に登り坂を速く登るためには、純粋にエースの己の脚力勝負となります。

キツい山岳コースでは、他のチームのエース同士の一騎打ちとなりがちです。

このエース同士による一騎打ちが、サイクルロードレースの最大の見所となります!

逃げにアシストを送り込んで、レース後半でエースをアシスト

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↑2015年、ブエルタ・ア・エスパーニャ第20ステージのレイアウト

勝負どころとなる山がいくつもあるようなコースレイアウトの場合、後半の山で勝負を仕掛ける際に、エースをアシストする選手を残しておくために、逃げ集団にアシストを送り込む戦略を取ります。

まさに、2015年のブエルタ・ア・エスパーニャ第20ステージは、そのような展開になりました。

※参考:単独で115kmを逃げたプラサが勝利 アスタナの総攻撃でドゥムラン陥落、アルが大逆転で総合優勝へ | cyclowired

総合1位のトム・ドゥムラン(ジャイアントアルペシン)から、6秒遅れの総合2位のファビオ・アル(アスタナ)は、このステージでマイヨロホ(総合1位が着れるジャージ)を奪還せねばなりません。

4つの1級山岳が登場する厳しいステージです。

ドゥムランはクライマーではなく山も登れるTTスペシャリストで、アルはクライマー気質のオールラウンダーです。

ドゥムランの所属するジャイアントアルペシンは、山岳アシストがほとんどいないチームで、アルの所属するアスタナには優秀な山岳アシストが何名もいます。

序盤から逃げ集団にアシスト2名(ルイスレオン・サンチェス、アンドレイ・ゼイツ)を送りこみ、アルのそばにはもう一人ミゲル・ランダという超優秀なクライマーを配置する万全な体制です。

勝負どころとなる、3つ目の山岳にて、アスタナはランダ以外のアシストを使って、集団を全力でひきます。このハイペースについていけない、他のチームのアシストたちを振るい落とすためです。

ドゥムランの回りにはあっという間にアシストがいなくなりました。そこで、第二撃です。ランダがアルを引き連れてアタックを仕掛けます。

このアタックに、ドゥムランはついていけません。総合1位のドゥムランを引き離すというアタックに見事成功します。

しかし、ドゥムランはTTスペシャリスト。山岳での遅れを、下り坂と平地で追いつくことが十分可能です。

ここで、逃げ集団に先行させていたアシスト2名が、アルと合流します。ルイスレオン・サンチェスとアンドレイ・ゼイツは、アルとランダを遥かに上回る平地での速さを持っています。

サンチェスとゼイツ、そしてランダの3人が思いっきり引いて、ドゥムランとの差を広げます。

そうしてリードを保ったまま、最後の山岳を登り始めた時点で、勝負ありでした。

最後の山は力尽きたランダに変わって、サンチェスが山岳アシストを務めながら、アルをゴールへと導きました。

結果は、アルが逆転でマイヨロホを獲得して優勝を果たしたのでした。

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↑献身的なアシストをしてくれたサンチェス(左)をねぎらいながらゴールするアル(右)

このようなアスタナのレース展開は、まるでお手本のような山岳ステージの戦略です。

ジャイアントアルペシンは、元々総合を狙ったチーム編成をしていなかったこともあり、終盤でのチーム力の差が露骨現れる結果となりました。

山岳アシスト、山を登れて平地も速い選手を揃えるチーム力が鍵となる

アスタナは、資金力も豊富で選手層が非常に厚いチームです。

同様に資金力があって選手層が厚いチームは、2015年ツール・ド・フランス覇者であるクリス・フルームが所属するチームスカイ。

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3大グランツールを制したことがあるアルベルト・コンタドールが所属するティンコフ。

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フルームをギリギリのところまで追い詰めた2015年ツール・ド・フランス総合2位、ナイロ・キンタナが所属するモビスター。

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そして、昨年まで王者クリス・フルームが最も信頼する山岳アシストを務めたリッチー・ポートが所属するBMCレーシング。

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他にも資金力豊富なチームもありますが、総合も狙えるようなチーム力を持ったチームはこのあたりでしょう。

総合狙いのチームは、平地スプリントでの勝利をほとんど狙わないため、生粋のスプリンターを連れて行かない場合が多いです。

なので、平地スプリント勝利狙いのチームと、山岳で勝ちたいチームの戦略は全然違ってくるのです。

ツール・ド・フランス2016は、7月2日開幕!

ツールの季節がもうすぐやってきます!

絶対王者フルーム擁するチームスカイに、他のチームがどう対抗するかが見ものです。

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