あきさねゆうの荻窪サイクルヒット

アラサー男子がブロンプトン・ロードバイク・プロ野球・メジャーリーグ・ラーメンネタ中心にお送りします。

至高のフレーミング技術を持つ戸柱恭孝をWBC日本代表の正捕手にしよう!

広告

WBC日本代表メンバーの19名がすでに発表されました。

捕手は、小久保ジャパン発足当初から最も試合出場している楽天の嶋基宏と、日本一に輝いた日ハムの大野奨太が選出されています。

しかし、小久保監督は「あと1名、捕手は選ぶ」と名言しています。

わたしは、この1名にDeNAの戸柱恭孝を強く推したいのです。それどころか、正捕手に戸柱を据えるべきであると、強く主張したいです。

その理由は、たった一つです。戸柱が日本一の『フレーミング』を持つキャッチャーだからです。

f:id:saneyuu:20170109054612p:plain

『フレーミング』が、いかに重要な技術であり、無視できない指標であるかお話したいと思います。『フレーミング』の価値を知ると、日本代表の正捕手は戸柱以外に考えられくなるでしょう。

フレーミングはミットずらしとは全く異なる技術である

まずは、戸柱のキャッチングの動画をご覧ください。

見逃し三振に倒れた打者は「え!今のストライクかよ…」という反応で見逃しているシーンが目立ちます。これがフレーミングの効果です。

フレーミングとは、端的に言えば打者からはボール球に見える球をストライクにする捕球技術のことです。捕球した後に、ミットをストライクゾーンに動かしているように見えるために、『ミットずらし』と混同して認識している人が多いです。

逆にストライクをボール球にさせない捕球技術であるとも言えます。

こちらの、巨人・菅野と小林のバッテリーの動画を比較動画としてご覧ください。

ストレートはピタッと止めるように捕球して、変化球は球の軌道を追いかけるようにキャッチングしています。

この差が大きく、戸柱は両リーグトップのフレーミング指標に対し、小林は阪神・原口に次ぐワースト2位となっています。ちなみに、楽天・嶋はワースト4位で、日ハム・大野はリーグ平均程度の数値となっています。

FRG
戸柱 +10.44
鶴岡 +7.05
石原 +2.44
中村 +0.48
大野 +0.35
伊藤 +0.20
田村 +0.19
會澤 -0.07
杉山 -0.25
西田 -0.31
若月 -0.49
桂 -0.52
炭谷 -1.40
嶋 -1.93
森 -2.63
小林 -4.06
原口 -5.27
※参考:【朗報】DeNA戸柱さんのフレーミング すごかった

ぜひ捕手のキャッチング動画を見て、確かめていただきたいのですが、データで語らずとも戸柱のフレーミング技術がずば抜けて高いことがわかります。
(※特にデータはガセだとか何だとか、データでしか物を見れない人ほどちゃんと実際の動画を見比べてみることをおすすめします。)

戸柱のフレーミングを、古田とモリーナと比べて見る

フレーミングのうまい捕手と言えば、当時はフレーミングという言葉はありませんでしたが、元ヤクルトの古田敦也を思い浮かべる方が多いと思いますし、古田のキャッチングのうまさに異論を挟む人はいないでしょう。

古田のフレーミング動画と、戸柱のフレーミング動画を見ていると、ほとんど違和感がありません。

上の動画の3:20頃の、見逃し三振に取ったフレーミングは見事です。

f:id:saneyuu:20170109054213p:plain

f:id:saneyuu:20170109044745p:plain

球の軌道はボール球のように見えます。しかし、捕球したミットの位置は不思議とストライクゾーン内に入っています。そのため、審判は思わずストライクとコールしてしまうのです。

捕球後にミットをズラしているように見えますが、捕球時点でグローブの先端部分でボールを捕りながらミットの中心地はストライクゾーンに置いたままという、横のゾーンに対するお手本のようなフレーミングです。


続いては、セントルイス・カーディナルスのヤディアー・モリーナのフレーミングです。前回のWBC準決勝で日本が敗れたプエルトリコの正捕手でした。

こちらの1:27頃のシーンでは、完全に低めに外れている球を、ねじり込むように捕球することでストライクとコールさせています。

f:id:saneyuu:20170109045328p:plain

f:id:saneyuu:20170109045333p:plain

この一連の動作の余韻でミットが動くことはありますが、審判は捕球時点でのミットの位置を見ています。モリーナは捕球の瞬間と捕球後で、手首の位置がほとんど変わっていません。

モリーナのように低めに外れたボールはどうしてもストライクとコールせざるを得ないのです。


したがって、小林のようにミットをピタッと止めればいいというものでもなく、ましてやストライクゾーンの外に流れるように捕球するとボールとコールされやすくなるのです。

フレーミングによる具体的な効果は、四球を減らし三振を増やす

Catcher Report - StatCorner.com』というサイトでは、メジャーリーガーたちの

・ボールゾーンで捕球した球がストライクとコールされた数の割合(oStr%)
・ストライクゾーンで捕球した球がボールとコールされた数の割合(zBall%)
・一試合で、通常よりどれだけ多くのストライクを取ることが出来たか(Per Game)

と言った指標を見ることが出来ます。

例えば、サンフランシスコ・ジャイアンツのバスター・ポージーの場合、

・oStr%:9.0%
・zBall%:10.1%
・Per Game:1.75

となっています。

本来ボールとなる球のうち9.0%をストライクとすることが出来て、本来ストライクだった球のうち10.1%をボールにしています。これらは割合なので、絶対数ではストライクにした球の方が多く、1試合あたり、1.75球ストライクを多く獲得しているというデータです。

なお、ポージーは今年のWBCアメリカ代表の正捕手を務めることが予想されています。

逆に、メジャーワーストレベルの指標を出しているシンシナティ・レッズのラモン・カブレラの場合は、

・oStr%:5.2%
・zBall%:20.0%
・Per Game:-2.79

となっています。

ポージーとカブレラを比べると、1試合で4球近く余分にストライクをとっているのです。本来出す必要のなかった四球を減らせ、本来とれなかった三振がとれるようになるのです。この効果が、毎試合あるとしたら1シーズン戦った両者の間には、大差を生むことは想像に難くありません。

最もフレーミングの良い捕手が162試合全てでマスクを被った場合と、最もフレーミングが悪い捕手とでは、最大で250失点の差が生まれるという測定データもあります。

※参考:ビッグデータベースボールが考える戦力補強とは? - あきさねゆうの荻窪サイクルヒット

1試合で1.75球多くストライクが増えたとしても、ほとんど影響ないのでは?と思う方もいるかもしれません。

わたしは際どいプロの勝負の世界では、1球の重みの重要性は非常に高いと考えていますし、ボールと思って見逃した球がストライクに取られることで、相手チームの打者のストライクゾーンの感覚に及ぼす影響は計り知りえません。際どい球もストライクになってしまうならと、際どい球に手を出して凡打を重ねるようになるかもしれません。

1シーズンで250失点差は言い過ぎなのかもしれませんが、少なくとも数十失点差にはなりそうに思えないでしょうか。仮にフレーミングの良い捕手が、他球団の捕手に比べて、フレーミングだけで50失点防いだとしたら、その捕手は50打点稼いだようなものですから。打撃面がいまいちだとしても、フレーミングの良い捕手を使うべきだと、わたしは考えます。

実際に戸柱を正捕手に据えたことで、横浜DeNAベイスターズは球団史上初のクライマックスシリーズ進出を決めました。

日本一のフレーミング技術を持つ戸柱を代表正捕手にしよう!

重ね重ねになりますが、戸柱のフレーミング技術は球界No.1と言っていいでしょう。

いや、戸柱はリーグ最下位の盗塁阻止率じゃないか、と反論する方もいるかもしれません。

盗塁を防ぐことに関しては、投手の責任に依るところが大きいです。つまり、クイックのスピード次第となっている面があります。

横浜DeNAには、日本一速いクイックモーションをしている久保康友がいます。久保は今シーズン、盗塁を2つしか決められていません。そのうち一つは、完全に久保のモーションを盗まれたスチールでした。

つまり、クイックが良ければ盗塁企画すらされないし、企画されても十分に刺せるということです。

恐らく横浜の投手陣は全体的にクイックが速くないのではないかと予想しています。未検証なので、推測ですけど…。

対して、日本代表投手のクイック技術は総じて高いです。菅野・大谷はトップレベルのクイックモーション技術を持っています。盗塁を企画されにくいと言えるので、戸柱を捕手に据えても問題ないと考えます。

それよりも、戸柱のフレーミングが日本代表投手陣の本来の力を引き出すことを可能にします。昨年末の壮行試合ではボコボコに打たれた投手陣でしたが、フレーミングの良い捕手と組むことで、あのような醜態を晒さずに済むことでしょう。

もし、戸柱が日本代表に選ばれなかったとしても、わたしは戸柱が将来日本を代表する捕手になると断言します。今年、代表にならずとも数年後には確固たる日本代表の正捕手の座を射止めているに違いありません。

だが、今選んでも早すぎることはありません。世界の舞台で躍動する戸柱が見たいです。

3月22日、ドジャースタジアムで戸柱がホームベースを守っていることを祈っています。

・こちらの記事も合わせてどうぞ

フレーミングについて、最も勉強になった一冊です。わたしは本書を読んで、野球観が変わりました。

データと印象の両面から守備のうまさについて考えていました。フレーミングに関しては、良ければ良いほどに良いと言えます。