ここまでホスト国であるフランス人選手によるステージ優勝が無く、1916年以来のフランス人優勝選手がいないという不名誉な記録をつくりかけていましたが、ロメン・バルデ(AG2R)が終盤アタックを決め、ステージ優勝を飾りました!
クリス・フルーム(チームスカイ)は落車でダメージを受け、大ピンチに陥りましたが、アシスト陣の奮闘のおかげでマイヨ・ジョーヌを堅守しています。
今日の逃げは20名
アレクセイ・ルトセンコ(アスタナ)
ロベルト・キセロフスキー(ティンコフ)
ラファル・マイカ(ティンコフ)
アレクシ・ヴィエルモーズ(AG2R)
ジョージ・ベネット(ロットNLユンボ)
ヤルリンソン・パンタノ(IAMサイクリング)
ピエール・ロラン(キャノンデール)
マークス・ブルグハート(BMCレーシング)
アマエル・モワナール(BMCレーシング)
ナトナエル・ベルハネ(ディメンションデータ)
ローレンス・テンダム(ジャイアント・アルペシン)
エマヌエル・ブッフマン(ボーラ・アルゴン18)
ルイ・コスタ(ランプレ・メリダ)
トーマス・デヘント(ロット・ソウダル)
トニー・ギャロパン(ロット・ソウダル)
トニ・マルティン(エティックス・クイックステップ)
ダニエル・ナバーロ(コフィディス)
マイケル・マシューズ(オリカ・バイクエクスチェンジ)
エドゥアルド・セプルベタ(フォルテュネオ・ヴィタルコンセプト)
ヴェーガル・ブリーン(フォルテュネオ・ヴィタルコンセプト)
の20名で逃げています。メイン集団とは3〜4分差をキープしています。
この中でフランス人選手は、ヴィエルモーズ、ロラン、モワナール、ギャロパンの4名です。
1級山岳、2級山岳ともに山岳賞ポイント2位のデヘントが先頭通過しますが、山岳賞ジャージ着用しているマイカはデヘントの背後にピタリとついて、共に2位通過。
そして、超級山岳モンテ・デ・ビザンヌの登りでデヘントが脱落してしまいました。
マイカは超級山岳を先頭通過して、何事もなければマイカの山岳賞がほぼ確実な状況になりました。
また、メイン集団ではトム・ドゥムラン(ジャイアント・アルペシン)が落車してリタイアとなりました。
左手首の骨折の疑いもあるとのことです。リオ五輪でのロードTT部門での金メダル候補なだけに、非常に心配です。
超級山岳モンテ・デ・ビザンヌの下り坂は大雨
そのため、落車が相次ぎます。
ルイ・コスタとピエール・ロランが逃げ集団から飛び出しました。
しかし、下り坂のコーナーでロランは落車して大きく遅れてしまいます。
メイン集団では、セバスチャン・ライヒェンバッハ(FDJ)、スティーブ・モラビート(カチューシャ)が落車しました。
また、リッチー・ポートがメカニカルトラブルのため遅れてしまいました。
↑ポートの集団復帰をサポートするBMCのアシスト陣
ナバーロ、セブルペダ、ウィルコ・ケルデルマン(ロットNLユンボ)が落車。
バウケ・モレマ(トレック・セガフレード)も落車したようです。
さらに、クリス・フルーム(チームスカイ)まで落車してしまいます!
ヴィンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ)も巻き込まれます。
フルームはゲラント・トーマスのバイクを借りて、再スタートを切ったため、すぐメイン集団に復帰することが出来ました。
ポートもアシスト総動員でモンブランの登りまでに追いつくことが出来ました。
下り坂でアシストの力を借りてアタックしていたバルデは、メイン集団にアンラッキーもあったため、1分以上メイン集団からリードを奪うことに成功しました。
ルイ・コスタが先頭で、最後のモンブランの登りを開始
続いて、バルデが45秒差で追いかけ、1分45秒差でフルームらマイヨ・ジョーヌ集団が追います。
バルデは快調に飛ばして、先頭のルイ・コスタに並びます。メイン集団とは1分20秒ほどのタイム差をつけました。
スカイのアシスト陣がペースアップを図り、バルデとの差は25秒差くらいまで一気に縮まります。
バルデは粘りの走りを見せて、タイム差を30秒以上保ったままフラムルージュをくぐります。
そして、バルデがゴール!フランス国民の期待に応える、大きな大きなステージ優勝です!
メイン集団では、ポート、ダン・マーティン(エティックス・クイックステップ)、ファビオ・アル(アスタナ)らがフルームからタイムを奪わんとアタックをします。
しかし、これらの攻撃をワウト・ポエルス(チームスカイ)がフルームのペースに合わせながら牽引を続け、なかなか決定的なアタックにさせません。
ハイペースな登りに、アダム・イェーツ(オリカ・バイクエクスチェンジ)がギリギリの状態で食らいつきます。
残り1kmあたりで、ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ)のアタックを皮切りに、アレハンドロ・バルベルデ(モビスター)、ナイロ・キンタナ(モビスター)、ルイス・マインティーズ(ランプレ・メリダ)が先行します。
逆にポートが遅れてしまい、イェーツも遅れます。
バルデから23秒遅れで、ホアキン、バルベルデ、マインティーズがゴール。
26秒遅れでキンタナ。28秒遅れでアル、ダン・マーティン。
そしてフルームは36秒遅れでフィニッシュしました。
ポートは53秒遅れ、イェーツは56秒遅れ、モレマは4分26秒遅れとなりました。
総合順位が大きくシャッフル
1位はフルーム変わらず
2位に4分11秒差でバルデがジャンプアップ
3位に4分27秒差でキンタナが1つ順位をあげ
4位に4分46秒差でイェーツが転落
5位に5分17秒差でポートが1つ順位をあげ
6位アル、7位バルベルデ、8位マインティーズ、9位ダン・マーティンもそれぞれ1つ順位をあげ
モレマは2位から10位に一気に順位を下げてしまいました。
最後まで何が起こるか分からないツールです。
明日のステージで全ての結果が出ます!
あきさね的チェックポイント
ポエルスはMVP級の活躍!
↑ゴール直後にポエルスの働きを労うフルーム
サイズの合わないバイクに乗りつつ、落車のダメージもあったフルームを、ポエルスが守り切り、失ったタイム差はわずか10秒程度に収めることが出来ました。
ポエルスはどんなにアタックがかかろうが、フルームのペースに合わせて、しっかりと牽引します。
そのスピード自体が速いため、アタックを仕掛けても、思ったように差がつきません。
そうしてライバルを疲弊させて、逆にポートからはタイムを奪う結果になりました。
頼れる山岳アシストの存在は、本当に大事だなと思った出来事でした。
そして、フルームが落車した時に、しっかりと近くを走っていたゲラント・トーマスも素晴らしく、その後メイン集団に復帰するために足を使ったであろうセルジオ・エナオモントーヤやミケル・ランダなどの働きも素晴らしいです。
終盤に多くのアシストを残しておくメリットの一つが、万が一のエースのトラブルにも順応に対応出来ることだなと思いました。
第20ステージは、超級山岳ジュプラーヌ峠の後のダウンヒルが見どころ
146kmと距離は短いですが、カテゴリー山岳4つある難易度は高いステージです。ここで、2016年のツール・ド・フランスの総合争いに決着がつきます。
決戦の場は、最後の山岳にして超級山岳ジュプラーヌ峠です。
斜度のキツい山を登ったあとは、これまた勾配のある高速ダウンヒルが待っています。
本日、下りで度重なる落車があったため、ダウンヒルで慎重になる選手も出てくると思います。
その中で決死の覚悟で攻める選手がいるかどうか、見どころとなってくることでしょう。
ステージ優勝予想は、ここまで勝利がなく表彰台も厳しくなってきたアスタナのためにも、ヴィンチェンツォ・ニーバリのダウンヒルに期待したいところですが、ルイスレオン・サンチェスが逃げ切り勝利すると予想します!
あとは、本当にクリス・フルーム(チームスカイ)に落車のダメージがないことを祈るばかりです。
明日第20ステージは、スカパー・J Sportsで19:35から中継開始予定です。実況は永田実さん、解説は永井孝樹さん、土井雪広さんです。
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