第12ステージの終盤、アタックを仕掛けたクリス・フルーム(チームスカイ)が、カメラバイクに激突して落車。
壊れたバイクを捨てて、走り出す衝撃的なシーンが世界中に放送されていました。
※クリス・フルームの詳しいプロフィールについては、
クリス・フルーム(Chris Froome)【イギリス、チームスカイ】 - サイバナ
をご覧ください。
残り400m地点でカメラバイクに激突
リッチー・ポート(BMCレーシング)、フルーム、バウケ・モレマ(トレック・セガフレード)の順で走行していました。
3人の選手の前方にバイクカメラが走っていましたが、観客が飛び出してきたため、バイクカメラは急停止しました。
沿道に観客がいすぎて、通行できる部分が選手1人分、バイク1台分くらいしかないような状況で、バイクカメラが急停止してしまうと、避けていくことは不可能です。
This picture says it all! #askingforproblems pic.twitter.com/w5oH9TMS13
— Greg Van Avermaet (@GregVanAvermaet) 2016年7月14日
↑フレフ・ヴァンアーヴェルマート(BMCレーシング)がツイートした写真。『これが全てを物語っている』と。
そのためポート、フルーム、モレマの順で激突してしまいました。
モレマはバイクへのダメージはなく、すぐに走り出します。
ポートは外れたチェーンを直して、再びバイクに乗ります。
ところが、フルームのバイクは、後ろから来たバイクに轢かれてしまい、フレーム自体が破壊されてしまったようです。
ホイール交換では済まない決定的なダメージを受けてしまったため、バイクを置いて走り出しました。
マイヨ・ジョーヌのランニングシーンです。
— あきさねゆう@サイバナ (@saneyuu) 2016年7月14日
ヒルクライム中にバイクを降りて、ビンディングシューズで走るなんて、身体への影響はかなり大きいと思います。
明日のTTに響かないかが心配です。 pic.twitter.com/vxoZazxQQ5
.@ChrisFroome à pieds dans le final de l'étape / @ChrisFroome is running in le Ventoux 💪 #TDF2016https://t.co/o3fgyrRRST
— Tour de France™ (@LeTour) 2016年7月14日
動画はこちらです。
サポートカーのバイクを受け取って走りだすが、サイズもクリートも合わない
マビックのサポートカーから、サポートバイクを受け取って走り出します。
しかし、長身のフルームにとっては、小さすぎるサイズです。
さらに恐らくビンディングシューズのクリートの形が合わないようで、ダンシング(立ち漕ぎ)することも出来ません。
全くスピードが出ずに結局、サポートバイクも降りてチームカーを待ちます。
両手を広げて「どうすればいいのよ」と言った雰囲気です。
チームスカイのチームカーがようやく登ってきて、スペアバイクを受け取り走り出します。
チームメートのセルジオ・エナオモントーヤがアシストしながらゴールに向かいます。
そうして、他のライバル選手たちに2分近く遅れてゴールしました。
審議の結果、モレマと同タイムでゴール扱いとなる
ゴール後にフルームは2つツイートしています。
Awaiting jury decision… @LeTour #TDF
— Chris Froome (@chrisfroome) 2016年7月14日
Still in the #YellowJersey #TDF
— Chris Froome (@chrisfroome) 2016年7月14日
絵文字も入れながら『まだマイヨ・ジョーヌだよ』とつぶやくフルームは非常に好感が持てました。
この状況で、
— あきさねゆう@サイバナ (@saneyuu) 2016年7月14日
『ぼくはまだマイヨ・ジョーヌを着てるよ』
とツイートするフルーム。
凄い精神力の持ち主ですわぁ。今回の件で、かなり好きになったかも。
審議の結果、フルームとポートは、先にゴールしていたモレマと同タイム扱いとなったようです。
無事に表彰式も行われ、フルームはマイヨ・ジョーヌを守ることが出来ました。
ところが、表彰式の最中には観客からフルームへのブーイングが起きていました。
ツールの直前の『クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ』でリーダージャージを獲得した際も、ものすごいブーイングでした。
それくらいフルームはフランス人から嫌われているので仕方ないとはいえ、あまりにも心ない声援です。
UCI、ASOは再発防止策を!
つい先日も、フルームに観客が接触事故を起こしかねない出来事がありました。
世界最大の自転車レースイベントで、盛り上がることは大変良いことなのですが、勝負どころの山岳ではしっかり柵を設けて、観客が進入できないように対策をすべきではないかと思います。
今回は、前日にゴール地点が変更になって、急遽設営したゴール地点だったために、十分な長さの柵を用意出来なかったのかもしれません。
しかし、本ステージが総合争いに向けて大きなポイントとなることは明らかだったわけですから、準備不足を言い訳にしてはならないなと思います。
後半のスイスアルプスでの山岳ステージで、同じような事件が発生しないよう、UCIとツール・ド・フランスを主催するASOはすぐに対策を打つことを期待します。
(余談その1)
落車の翌々日に、フルームがこんなツイートをしていました。
Mystery solved #PokemonGo #TDF #TDF2016 pic.twitter.com/SXFmmuEQHM
— Chris Froome (@chrisfroome) 2016年7月16日
『(あれだけの人が集まっていた)謎が解けたよ〜』と言って、ポケモンGOのハッシュタグと画像を貼る粋なジョークをかましていました笑
天才的なセンスを持っていますね!
(余談その2)
フランスの現地メディアは、フルームに対して『マラソンマン』というアダ名をつけたそうです。
ちなみに、落車の当日にスカイのGMのブレイルスフォードさんが、『フルーミー(フルームのニックネーム)は、来年パリマラソンを目指すよ』というジョークをメディアに向けて言っていたことも影響していると思います。
・クリス・フルーム詳細プロフィール
クリス・フルーム(Chris Froome)【イギリス、チームスカイ】 - サイバナ
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