近年、元プロ野球選手の社会人野球での活躍が目立ちます。
2016年の都市対抗野球では、トヨタ自動車に所属している細山田武史の活躍のニュースが気になりました。
トヨタ4強一番乗り 細山田サヨナラ打「やってやりましたぁ!」― スポニチ Sponichi Annex 野球
トヨタ自動車と言えば、社会人野球の名門でありますが、世界に名立たる大企業でもあります。
細山田は、プロでの晩年は二軍、育成選手として過ごす期間が長く、1軍のレギュラーとは程遠い存在でした。
にもかかわらず、早稲田大学卒業、2008年ドラフト4位入団などの実績が買われたためか、育成選手から大企業の社員に転身することが出来ました。*1
横浜入団までは、完全な野球エリートコースだった
http://net-kousien.com/nitihamu-saitou-senryokugai/
鹿児島城西高校では1年から正捕手として活躍しましたが、甲子園出場は出来ませんでした。
スポーツ推薦で、早稲田大学に進学し、1年春からレギュラーとして活躍し、在学中は5度のリーグ制覇に貢献しました。
2007年に入学してきた、斎藤佑樹とバッテリーを組み、2008年ドラフト会議にて横浜ベイスターズに4位指名を受け入団します。
ベイスターズでは、1年目の2009年シーズンから88試合に出場するなど、正捕手として活躍が大いに期待されていました。
2012年は1軍出場ゼロになる
2012年シーズンは、FAで鶴岡一成を獲得、ドラフト2位で期待の高卒新人・高城俊人を獲得したため、一軍に全く呼ばれることがなかったうえに、二軍でも20試合のみの出場となり、完全に戦力構想外となっていました。
そのため、このオフの契約更改では1700万から減額制限を越える1100万ダウンを提示され、「これから食事は松屋か吉野家にする。」という至極の名言を残しながらも、現役続行となりました。
参考:細山田 65%ダウンで戦力外回避も「食事は松屋か吉野家」― スポニチ Sponichi Annex 野球
しかし、翌2013年シーズンは、怪我の影響で一軍はおろか、二軍を含む公式戦に6試合の出場にとどまり、戦力外通告を受けます。
球団からは、ブルペン捕手や職員としての雇用の打診もあったそうですが、現役続行の道を選び、トライアウトを受験します。
ソフトバンクに育成選手として獲得される
http://matome.naver.jp/odai/2144288057319937501
当時から、ソフトバンクは慢性的な捕手不足に悩まされていたため、捕手のバックアップとして細山田に白羽の矢が立ちました。
年俸は480万円。育成選手としては低くはない金額ですが、いつ首を切られてもおかしくない不安定な雇用です。
2015年シーズン、主力捕手に相次ぐ怪我があったため、開幕直後に支配下登録されました。年俸は600万円です。
一軍で12試合出場しましたが、同年オフに再度戦力外通告を受けます。トライアウトにも参加しませんでした。
プロとして現役続行する道もあったかと思いますが、トライアウトの翌日、社会人野球・トヨタ自動車への入部が決まりました。
プロとして現役続行するなら育成が濃厚な状況で社会人野球からのオファーを受けた細山田
http://sportiva.shueisha.co.jp/clm/baseball/2016/07/21/post_783/
2016年シーズンもプロとして現役続行の道を望んだ場合、恐らく育成選手として獲得する球団はあったのではないかと思います。
少なくともソフトバンクが育成として再契約する打診はしたのではないでしょうか。
その場合は、年俸は480万くらいの可能性が高いです。
しかし、細山田は育成としてプロに残る道より、トヨタ自動車の社員として野球をする道を選びました。
今年30歳となる細山田は、トヨタ自動車からおそらく600万ほどの給与を貰っているのではないかと予想します。
参考:トヨタ自動車の年収偏差値:80.2 年収ランキング:1位
社会人野球の部員は全て正社員ではないです。
恐らく細山田はトヨタ自動車の正社員として採用されたと思われますが、そうでなくとも引退後には所属した会社の社員として働く道も十分残っていて、プロ選手として現役引退した時にアテがない状況に陥ることなく、明確なキャリアパスが見えている安心感は非常に大きいでしょう。
その上、育成より収入が高く、福利厚生もあるんだとしたら、プロの育成と企業の社員、どちらを選ぶでしょうか。
プロ野球選手のセカンドキャリアが、保障されやすくなればプロを目指す人も増えるのでは
細山田と同じく、2015年オフにソフトバンクを戦力外となった選手の一人に中村恵吾という育成選手もいました。
2014年育成ドラフトでソフトバンクに入団し、わずか1年での戦力外です。
中村もシンセリティ(http://sincerity-co.jp/index.html)に正社員として採用され、同社の野球部に入部したようです。
こちらは、中村がかつて所属していたBCリーグ・富山サンダーバーズ時代の同僚のコネもあったそうです。
細山田は早稲田卒・横浜ドラフト4位などの実績、そして何よりも人柄が大きいと思います。
参考:細山田武史「もう一度、人生を賭けてみる」|プロ野球|集英社のスポーツ総合雑誌 スポルティーバ 公式サイト web Sportiva
中村はかつてのコネであり、コネに頼らずとも、望めば社会人野球へ進むことが出来るような枠組み・仕組みづくりをプロ・アマ共同でつくることが出来たらいいのになと思いました。
そうすれば、先行きが不安だから、という理由でプロを志望しない選手が減って、プロ野球人口の底上げになり、ひいてはスター選手の輩出に繋がると思うからです。
今後も細山田の動向を追って行きたいと思います。
急に告知!7/26(火)20時から、全マシニキさんと野球キャス再び開催!
野球つながりで、一つ告知します!
グルメ・ジロリアンブロガーでお馴染みの全マシニキさん(全マシニキ (@allmashit) | Twitter)と、コラボキャスやります〜。
前回は、キャス主である我々が一番盛り上がってしまい、4時間近くぶっ続けで、ひたすら野球の話ばかりしていました!
今回は、ちゃんと節度を守って話していきたいと思いますし、リスナーの方も交えてトークして行きたいなと思います。
・開催日時:7月26日(火) 20時頃〜 (Twitterでも告知します)
・トーク内容:ひたすら野球の話をする予定
ご興味ある方、良かったらお越しくださいませ〜。
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元プロの受け皿としては、独立リーグも大いに貢献しています。
しかし、独立リーグと社会人野球では待遇面に大きな差があります。
独立リーグ所属選手は、オフはアルバイトが必要な場合が多いですが、社会人野球はもちろん飯食うには困らないことでしょう。
*1:厳密にはプロでの最終年は、主力捕手に相次ぐ怪我があったため、育成から支配下登録され、1軍の試合に12試合出場しています。またトヨタ自動車での契約形態は、正社員か契約社員か不明です。恐らく正社員だと思われます。