ピート・ローズがキャリアの大半を過ごしたシンシナティ・レッズの野球殿堂入り、そして現役時代の背番号『14』が永久欠番となりました。
ピート・ローズ氏 球団殿堂入りに続き背番号「14」が永久欠番― スポニチ Sponichi Annex 野球
また、イチローの日米通算安打記録が「プロ野球における通算最多安打数」のギネス世界記録に認定されました。
イチロー、日米通算最多安打でギネス世界記録に認定 - ライブドアニュース
日米通算安打記録4257を樹立した日の記者会見にて、イチローは
『いつかアメリカで、ピート・ローズの記録を抜く選手が出てきてほしいし、それはジーターみたいな人格者であることが理想ですし、もっと言えば、日本だけでピート・ローズの記録を抜くことがおそらく一番難しい記録だと思うので、これを誰かにやってほしい。とてつもなく難しいことですけど、それを見てみたいですよねぇ。』
という発言をしていました。
実際にMLB単独、またはNPB単独の記録でローズの4256本の記録を破ることが出来るのでしょうか?
わたしは不可能な数字ではないなと思います。
現役選手でこの記録に迫る可能性はどれだけあるのか、調べてみたところ5人の選手に可能性を感じました。その選手たちを紹介します。
※2016.8.8更新
その前に、いかしにしてピート・ローズは4256本を打ったのか
18歳でプロ入りし、メジャーリーグデビューを果たしたのは1963年22歳のシーズンでした。
以降、年平均148.4試合出場という、ほとんど故障することなく*1、45歳シーズンまでプレーして、通算試合出場3562はメジャー歴代最多記録です。
そうして積み重ねた安打数が4256本で、年平均177.3本を打ち続けた計算となります。最晩年の3年間を除くと、ほとんど年平均200本打っていたことになります。
また1970年から1978年にかけて、ローズの所属していたレッズは黄金時代と言えるべき無類の強さを誇っていて、地区優勝5回・リーグ優勝4回・ワールドシリーズ2連覇という偉業を成し遂げていました。
特にローズがリードオフマンを務める打線は超強力で、後にMLB殿堂入りする選手が3名(ジョニー・ベンチ、ジョー・モーガン、トニー・ペレス*2といったスター選手を揃えていました。
そのため、ローズに多くの打席がまわってきたことがよく分かります。
まとめると、
- 40歳過ぎまで怪我せず試合に出続ける
- ある程度強いチームでトップバッターを務める
- 年平均200安打ペースで打ち続ける
ことが必要な条件となってきます。
MLBで記録更新の可能性がある選手
マイク・トラウト(ロサンゼルス・エンゼルス)
現在24歳のマイク・トラウトは、レギュラー定着1年目の2012年21歳のシーズンにトリプルスリー(30本、49盗塁、打率.326)を記録するなど、モンスター級の活躍を重ねています。
今シーズンも、8/8現在、打率.319、HR21本、盗塁17と安定した活躍をしています。
トラウトの通算成績は以下のとおりです。
レギュラー定着後4年間の平均をとると
- 出場試合数153
- 安打179.3本
となっています。
単純にこのペースだと、19.6年かかる計算となるので、2036年トラウトが44歳のシーズンにようやく4256安打を達成する計算となります。
ところが、トラウトはアベレージヒッターというよりパワーヒッターとして覚醒しつつあります。
そのため打順も主に3番で起用されています。ホームラン記録は伸びて行くように思えますが、安打数は勝負を避けられることも増えるため今以上に伸びる可能性は微妙に思えます。
とはいえ、トラウトのスーパーマンっぷりを見ていると、記録更新に期待したくなるところです。
ホセ・アルトゥーベ(ヒューストン・アストロズ)
現在26歳のホセ・アルトゥーべは、現役最小メジャーリーガー(身長165cm)として、2年連続200安打を達成するなどヒットを量産しています。
今シーズンも、8/8現在、打率.355、153安打と首位打者&3年連続200本安打を狙える勢いで打ちまくっています。
アルトゥーべは通算成績は以下のとおりです。
レギュラー定着後の4年間の平均をとると
- 出場試合数152.8
- 安打192.3本
となっています。
単純にこのペースだと、17.8年かかる計算となるので、2034年アルトゥーべが44歳のシーズンに4256安打に達する見込みです。
仮に直近2年間+今シーズンの安打ペースで計算すると、年平均215.1安打となるため、15.9年かかります。つまり42歳のシーズンに到達見込みとなります。
キャリアハイクラスのペースで打ち続けて42〜44歳での到達見込みとあって、無事これ名馬で試合に出続けることがいかに重要か改めてわかりました。
体格を物ともせず、安打を積み重ね続けるアルトゥーべには、イチローに似ているところがあり、個人的に応援したい選手の一人で、期待したいところです。
イグザンダー・ボガーツ(ボストン・レッドソックス)
現在23歳のイグザンダー・ボガーツは、レギュラー定着2年目の昨シーズンに196安打を記録した、巧打のショートです。
今シーズンは特に打撃覚醒しつつあり、シーズン前半に比べるとややペースが落ちてきたとはいえ、8/8現在、打率.319、144安打とシーズン200安打を余裕で越えるペースで打っています。
イグザンダー・ボガーツの通算成績は以下のとおりです。
レギュラー定着後の2年間と、今シーズンの成績をベースを年換算して計算すると、
- 出場試合数154
- 安打185.3本
となっています。
単純にこのペースだと21.2年かかる計算となるので、2038年にボガーツが45歳のシーズンに4256安打に達する見込みです。
仮に昨シーズンと今シーズンのペースで打ち続けたとすると、年平均213.5本となり、18.4年かかります。つまり42歳のシーズンに到達見込みだということです。
まだ年単位で実績を残したシーズンが昨季のみですので、今季の活躍を続けられるかどうかが、第一の関門となりそうです。
それをクリアして上でも、快挙的な活躍を20年近く続けてようやく達する数字が4256安打という記録なのです。
イチロー(マイアミ・マーリンズ)
現在42歳のイチローですが、冗談抜きで記録更新の可能性があると思います。
8/8に、通算3000安打を達成し、4256安打までは残り1256安打です。
今シーズンあと56安打打ったとして、残り1200本を50歳までに達成するには、年間171.4本のペースで打つ必要があります。
今季のイチローのバッティングを見ていると、往年の打棒が復活しているようにしか見えないため、今後7年間に渡って年間200安打はいかないペースで打ち続けることは十分期待が持てるのではないかと思うのです。
『常に人に笑われてきた悔しい歴史が僕の中にはあるので、これからもそれをクリアしていきたいという思いはもちろんあります』
と言っているイチローだからこそ期待したい!
イチローの記録更新を後押しして、レギュラー待遇で使ってくれる球団への移籍が、一番大きな関門となりそうです。
NPBで記録更新の可能性がある選手
山田哲人(ヤクルトスワローズ)
この人しかいませんね!
現在24歳、流行語大賞にもなったトリプルスリーを2年連続で達成する勢いの大活躍をしています。
山田哲人の通算成績は以下のとおりです。
今季は、8/8現在、106試合、126安打を打っています。
直近2年間と今シーズンの安打ペースを元に計算をすると、年平均183.2安打となります。20.6年かかる計算になるため、2037年山田が45歳のシーズンに4256安打に到達する見込みとなります。
なお出場試合数は日本プロ野球の現行ルールの場合、フル出場しても143試合が最高です。
山田もアベレージヒッターというよりは、ホームランアーティストとして覚醒しているため、打順も3番や4番での出場が多くなっていくトラウトと同じ悩みを抱えることになるでしょう。
NPBの場合は、ホームラン打者に対する警戒もどんどん強くなり、四球で勝負を避けられがちなので、200安打ペースで打つこともなかなか難しいように思えます。
ですが、何かの拍子に1番打者として定着して安打ペースが上がればあるいは…!という期待が持てる唯一の選手です。
最大の関門は40歳過ぎまでNPBでプレーし続けることだと思います。
まとめ
ここまででお気づきになった方もいるかもしれませんが、今回ピックアップした4名は全員右打者です。
イチローは左打者、ピート・ローズは両打ちの選手でして、NPB歴代最多安打記録保持者である張本勲も左打者、NPB歴代最高通算打率記録保持者の若松勉も左打者、とヒットマンは左打席で打っているという定説があるように思えます。
近年では右打者がヒットを稼ぐ時代になってきたのかもしれません。
ちなみに右打者のMLB歴代最多通算安打記録1位はハンク・アーロンの3771本で、2位はデレク・ジーターは3465本でした。
トラウト、アルトゥーべ、ボガーツ、山田には、アーロンやジーターの記録ならば、十分射程圏ではないでしょうか!
記録達成には20年近くの歳月を必要としますが、末永くこの選手たちを見守って声援を送りたいと思います。
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