イチローがメジャー通算3000本安打を達成しました!
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160808-00000018-jij_afp-baseheadlines.yahoo.co.jp
MLBの長い歴史の中で、30人目に達成した快挙です。
そこで、これまでにどんな選手が達成しているのか気になりまして、調査がてら打線を組んでみようと思いました!
選出ルール
- 通算安打の多い順に選出
- ポジションは、最も出場数が多い守備位置とする
※ピート・ローズは二塁手としてデビューしまたが、二塁手としての通算出場試合数は628に対し、外野手として通算1327試合に出場しているため、外野手としてカウントします。
- ポジションが被った場合は、通算安打数が多い方を優先して選出
※このため、歴代上位3位が全員外野手のため、歴代4位のスタン・ミュージアルは外野手のため選出外となった。
通算3000本安打達成者で打線組んでみた!
1、二塁 エディ・コリンズ 3315安打(歴代11位)
通算記録:実働25年、2826試合、47HR、1300打点、741盗塁、打率.333、出塁率.424
1906〜1930年に、フィラデルフィア・アスレチックス*1、シカゴ・ホワイトソックスで活躍した古い時代の選手です。
『エディ・コリンズ』と聞いて、ピンと来る方は、相当マニアックな野球ファンだと思います。
コリンズは通算512犠打のMLB記録*2を持っていて、川相昌弘(当時巨人)が2003年に記録を更新した際に名前があがった選手です。
二塁手としての出場試合数は2650試合で、センターラインを守りながら通算打率.333は素晴らしすぎる成績です。また通算盗塁数741は歴代7位の記録であり、高い出塁率と盗塁を決める走力を考慮して、トップバッターに選びました。
2、遊撃 デレク・ジーター 3465安打(歴代6位)
通算記録:実働20年、2747試合、260HR、1311打点、358盗塁、打率.310、出塁率.377
『いつかアメリカでピート・ローズの記録を抜く選手が出て来てほしい。それはジーターみたいな人格者であることが理想。(byイチロー)』
の言葉どおり、アメリカ国民から慕われる『ザ・キャプテン』です。
1995〜2014年に、ニューヨーク・ヤンキース一筋でプレーしたフランチャイズプレーヤーです。ヤンキースの黄金時代に活躍したため、ポストシーズン最多出場記録も持っています。
素晴らしい記録の持ち主ですが、本人は個人記録について聞かれることを最も嫌うそうです。「チームスポーツなのだから、勝つことがすべて」という信念を貫き通しています。
アメリカでは、トップレベルのイケメンと評されているらしく、現役時代は女性関係のゴシップ記事には事欠かなかったですが、最近(7月9日)にモデルのハンナ・デービスと結婚式を挙げたそうです。
3、中堅 タイ・カッブ 4191安打(歴代2位)
通算記録:実働24年、3035試合、117HR、1937打点、892盗塁、打率.366、出塁率.433
1905〜1928年と、コリンズと同時期に活躍していた球聖タイ・カッブです。3000本安打到達時の年齢は34歳と、歴代最年少で達成しています。
最も打率が低かった年がルーキーイヤーの.240で、次に低い年が2年目の.316で、以降引退するまで.320を切ったことがないという、考えられない高打率を残しています。通算打率.366は当然歴代1位です。
1909年シーズンには、打率・打点・本塁打・盗塁・安打数・出塁率の6部門でリーグ1位、いわゆる打撃六冠を達成しました。これは、MLBの歴史の中で唯一の出来事です。
凄まじい記録の持ち主で、『球聖』というニックネームがつけられましたが、一方で『最高の技術と最低の人格』とも言われています。
観客のヤジに逆上してスタンドに殴りこみ、観客をボコボコにしてみたり、息子が見に来た試合で審判と取っ組み合いの大げんかをしてみたり、コリジョンルールが見たら卒倒するような殺人スライディングをしてみたりと。
とはいえ、観客を殴ってリーグ機構から無期限出場停止処分を命じられましたが、これをチームメイトが不服とし、タイ・カッブのためにストライキを断行したエピソードがあります。
※参考:1試合で24失点を喫した投手、アラン・トラヴァースとは何者か? - あきさねゆうの荻窪サイクルヒット
類まれなる打撃力を含むプレー面でチームを引っ張る活躍をしてきたわけで、第1回アメリカ野球殿堂入りを果たしています。『最悪の人格』はマスコミに作られたものだという意見もあるようです。
4、右翼 ハンク・アーロン 3771安打(歴代3位)
通算記録:実働23年、3298試合、755HR、2297打点、240盗塁、打率.305、出塁率.374
1954〜1976年に活躍し、右打者としては歴代1位の安打数に加えて、通算2297打点は今なおMLB歴代最多となっています。
意外と走力もあり、1963年シーズンにはトリプルスリー(44HR、31盗塁、打率.319)を達成しています。
ハンク・アーロンの記録は何と言っても通算通算755HRでしょう。バリー・ボンズに抜かれるまでMLB歴代1位だった記録です。
それまでの最多本塁打記録はベーブ・ルースの714本で、アーロンは1974年に記録更新します。そして755本まで記録を伸ばして1976年に引退します。
翌1977年に王貞治が通算756号本塁打を放ち、わずか1年足らずでアーロンの記録を更新することとなりました。
王貞治だけでなく、アーロンのチームメイトにして通算512HRのエディ・マシューズ、”最後の三冠王”カール・ヤストレムスキー、通算573HRの”キラー”ことハーモン・キルブルー、通算660HRのウィリー・メイズ、スイッチヒッターとして歴代最多536HRのミッキー・マントル、マグワイアとソーサに抜かれるまでシーズン61HRの最多記録を保持していたロジャー・マリスなど、アーロンの同年代には歴史に名を残している名ホームランバッターが活躍していました。不思議な縁ですね。
5、三塁 ジョージ・ブレット 3154安打(歴代16位)
通算記録:実働21年、2707試合、317HR、1595打点、201盗塁、打率.305、出塁率.369
1973〜1993年まで、カンザスシティ・ロイヤルズ一筋でプレーした選手です。打撃に関するロイヤルズの球団記録の大半はブレットのものです。
1979年シーズンには42二塁打、20三塁打、23HRの『20-20-20』を達成しました。現在でも7名しか達成していない記録で、トリプルスリーや三冠王よりも難しい大記録と言えましょう。NPBではシーズン三塁打の最多記録が18本なので、未だ達成者はいません。
また1980年シーズンには、打率.390で首位打者を獲得しました。”最後の4割打者”テッド・ウィリアムズが1941年に.406を記録して以来、最も4割に近づいた記録でした。ちなみにシーズン262安打のMLB最多記録を達成した2004年のイチローは.372でした。
1983年シーズンには、パインタール事件という前代未聞の出来事に巻き込まれています。
6、DH ポール・モリター 3319安打(歴代10位)
通算記録:実働21年、2683試合、234HR、1307打点、504盗塁、打率.306、出塁率.369
現ミネソタ・ツインズ監督です。1978〜1998年までキャリアの大半をツインズで過ごしました。
1996年、40歳のシーズンには、キャリアハイとなる225安打、113打点を記録しました。
引退した1998年も、規定打席に到達し、打率.281を記録していて、現役を続けていればまだまだ通算安打記録を伸ばすことも出来たと思われます。
3000安打、200HR、500盗塁を越えている選手は、モリターの他にはリッキー・ヘンダーソンのみです。
7、一塁 キャップ・アンソン 3418安打(歴代8位)
通算記録:実働27年、2524試合、97HR、2075打点、277盗塁*3、打率.334、出塁率.394
1871〜1897年に活躍していた19世紀の名選手です。
”キャップ”は愛称で、強いリーダーシップから「キャプテン」と呼ばれていたことに由来するそうです。
というのも、アンソンは1875年、プロ5年目のシーズンに、初めて選手兼任監督に就任します。弱冠23歳での出来事です。
その後、チームを移籍して1879年、9年目27歳のシーズンから本格的に選手兼任監督を務め、以後引退するまで19年間にわたってチームを率いていました。
5度のリーグ優勝のみならず、8度の打点王・4度の首位打者に輝くなど、プレーヤーとしても一流であり続けました。
また、ヒットエンドランの立案者であり、先発ローテーション制度を最初に取り入れた監督と言われています。*4
昔の選手にありがちな、チート級の能力をプレーヤーと監督の両方で発揮していた稀有な選手です。
8、左翼 ピート・ローズ 4256安打(歴代1位)
通算記録:実働24年、3562試合、160HR、1314打点、198盗塁、打率.303、出塁率.375
ご存知”チャーリー・ハッスル”ことピート・ローズは、意外と通算打率は.303と、ここまでのメンツの中で最も低いです。
なので8番打者にしましたが、仕方ないと思います。
1963〜1986年まで、主にシンシナティ・レッズの1番打者として活躍していました。
怪我なく、試合に出続けていたことで安打の記録を伸ばしたため、通算出場試合数・通算打席・通算打数でもMLB歴代最多となっています。
素晴らしい打者であることに違いないのですが、ピート・ローズも人格に問題がある人物です。詳しくは、こちらの記事もどうぞ。
9、捕手 イバン・ロドリゲス 2844安打(歴代48位)
通算記録:実働21年、2543試合、311HR、1332打点、127盗塁、打率.296、出塁率.334
残念ながら、捕手として通算3000本安打を達成している選手はいませんでした。
捕手として歴代最多の安打数を記録した選手ということで”パッジ”ことイバン・ロドリゲスを選出しました。
ゴールドグラブ賞を13回獲得し、捕手としての出場試合数2427は、いずれも歴代最多です。通算盗塁阻止率は46%と抜群の強肩ぶりを発揮していました。ちなみに、古田敦也も通算盗塁阻止率は46%で、NPB歴代最高です。*5
現役最強捕手と名高いヤディアー・モリーナ(現在34歳)の捕手としての出場試合数は、7月29日時点で1527試合と、ロドリゲスの6割程度に過ぎません。
1999年シーズンには、35HR・113打点・打率.332という成績でリーグMVPを獲得しました。
なお野村克也の通算安打数は2901本であり、捕手として打った安打数は世界最多と思われます。
いずれも、殿堂入り級の選手ばかり
野球賭博によって永久追放されているピート・ローズと、2017年にアメリカ野球殿堂入りの有資格者となるイバン・ロドリゲス*6を除き、全員殿堂入りしています。
3000本安打達成者のうち、殿堂入りしていないのは、ピート・ローズと、まだ資格を得ていないアレックス・ロドリゲス*7、そしてラファエル・パルメイロの3名のみです。
パルメイロは3000本安打&500本塁打という史上4人目の大記録を達成していますが、薬物問題でイメージが非常に悪化したため、殿堂入りすることが出来ませんでした。
さらに、3000本安打達成者のうち、アメリカ合衆国以外で生まれた選手は、ロベルト・クレメンテ(3000本、プエルトリコ)、ラファエル・パルメイロ(3020本、キューバ)、ロッド・カルー(3053本、パナマ)、そしてイチロー(3000本、日本)の4名のみです。
イチローはアメリカ合衆国外で出生した選手として、メジャー歴代最多安打記録(カルーの3053本)の更新も十分可能です。
イチローが将来殿堂入り確実と言われるのも当然のことです。それくらいメジャー通算3000本安打達成は、凄まじい大記録なのです。
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